13-4.ファッションショー




 少し照れるような表情を向ける凛子の姿は、おへその上辺りで生地を切り取られたクロップド丈のTシャツに、デニム調のショートパンツを穿いている。


 腰まで伸びた黒髪もあいまって、大人びた印象を感じさせた。



「ふーん、ヘソ出し、足出しとはなかなか大胆ねぇ凛子ちゃん。審査員の伏見くん、いかがですか!?」



 なんというか、目のやり場に困ってしまう。



「やー......そのぉ......似合ってる、と思う。けど、ちょっと露出し過ぎじゃないか?」



「うーん、私は可愛いと思うんだけど、ピュアな伏見くんにはちょ〜っと早過ぎたみたいね」



「......馬鹿にしてませんか?」



「ちょっとだけね?」



「......私も着替え終わりました」



 馬鹿にしていた事を否定せずあっさりと認めた結衣に再び睨みを利かせると、美姫が入る更衣室のカーテンが勢いよく開く。


 出てきた美姫の姿に思わず息をんでしまった。


 純白のワンピース。頭に乗せた麦わら帽子にあしらわれた黒のリボンが、浮世離れしたウェーブのかかった金の髪によく似合っている。



「どう、でしょうか?」



 さすがに照れているのか、雪みたいに白い頬をほんのりと上気させ、エメラルドグリーンの瞳を潤ませてこちらの様子をうかがっている。



「おー......なんというか、王道だね正臣くん」



「オレに話を振らないで下さい......」



 凛子といい、本当に目のやり場に困ってしまい、たまららず正臣は右手のてのひらで顔をおおって項垂うなだれるのだが、結衣がそれを許してくれない。



「こら伏見くんっ! ちゃんとコメントしなきゃダメでしょ? 美姫ちゃん不安そうよ」



 たしなめられた正臣は観念したように顔を上げる。


 不安げな表情で見つめる美姫と目が合うと、ただでさえ緊張してるのに、さっき話の流れで美人と言ってしまった事まで思い出してしまい、心臓が激しく内側からノックし始める。


 だが、何も言わないのはさすがに失礼な事くらい正臣も理解しているので覚悟を決める。



「......綺麗、だと思う......」



「はい......ありがとう、ございます......」



「ふふっ。という事で、ファッションバトルの結果は、両者ともに伏見くんをたじたじにさせたという事で引き分けー! 二人とも、その服気に入ったんなら買ってくるといいよ」



 美姫と凛子は顔を見合わせると、更衣室のカーテンを閉めて着替えると、いそいそとレジに向かって行った。



「くー! 罪な男だね〜このこのぉ!」



 二人を見届けた結衣がニンマリ顔で今度は肩をグリグリしてくるが、今の正臣に抵抗する力は残されておらず、甘んじてその攻撃を受け入れるのであった。

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