13-2.ファッションショー
「へ? オレ?」
こくんと頷く美姫になんて答えればいいのかわからず視線を泳がせると、不意に腕に抱きつかれてしまう。
「お、おい!?」
「ちょっと付き合って下さい」
「正臣くん、ワンピースは好きですか?」
腕にしがみついたまま、真っ赤な顔で見上げてくる美姫に正臣の心臓が限界を迎えそうになる。
「ごめん、ちょっと......マジで離れてくれない?」
「イヤです」
はっきりとした否定のメッセージを放った美姫は、離れるどころか今度は正臣の胸の辺りに顔を
「お、おい......」
「正臣くんの心臓......バクバクうるさいです」
「誰のせいだと思ってる?」
「正臣くんのせいですよ」
「なんでだよ!?」
ツッコミと同時に美姫から離れようとしたが、がっちり腕をホールドされてしまっていてそれは叶わない。
「あの......」
「今度はなんだ?」
「その......昨日はありがとうございました。お礼、言えてなかったので」
「......ん? オレなんかしたか?」
「あの時......男性にしつこく絡まれていた時、助けていただきました。正直、困っていました」
「ああ、あの時の......」
言われて昨日美姫に言い寄っていた男子生徒を思い浮かべた正臣は、空いていた方の手を美姫に向かってヒラヒラと振って見せる。
「別にいいよ。減るもんじゃないし。それよりお前の方こそ苦労するな。その......なんだ、お前、美人だし......」
「えっ」
ついポロッと
正臣を見つめたまま固まる美姫に、顔が炎上したんじゃないかと錯覚するほど熱くなる。
「正臣くん、今私のこと、美人って......」
正臣を見つめる美姫の抱きつく力が緩んだ隙に、彼女から距離を取る。
顔が、熱い。見られたくない。
燃えているんじゃないかと錯覚するくらい熱くなった顔を腕で
「.........今の、なしで......」
「なんでですか!?」
「なしでっ!」
吐き捨てた正臣は、美姫に背を向け
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