11-1.幼馴染からのお誘い
ダンスパーティー翌日の休日、
桜花学院の周りはちょっとした高級住宅街になっており、高級志向な雑貨店や
庶民の高校生である正臣には
(買っちゃった......)
小一時間ほど悩みに悩んで購入したコーヒー豆の入った紙袋を胸に抱えると、思わず顔の筋肉が緩み、自然と口角が上がる。
(高かったけど、今日はいい買い物が出来た)
少々奮発してしまったが、見たことのないコーヒー豆を買えてとても気分がいい。
ダンスパーティーで抱えたストレスもこれで抜け落ちるというものだ。
(しかし、昨日ダンスパーティーは散々だったな)
美姫とのダンスの後、嫉妬の炎を瞳に
付き合ってるのかとか言及してきた奴もいたが、そんな訳がない。
どう見たらそう見えるか説明してして欲しいぐらいだ。
結局その後、多数の男子が美姫にダンスを申し込んだのだが、美姫が
(はあ、月曜日学校行きたくないなぁ......)
逃げただけで事態が何も解決していない事ぐらいわかってる正臣は、大きなため息をショッピングモールに落として、空いた小腹を満たせる場所を探すことにした。
「げっ」
レストラン街に向かう途中の降りのエスカレーターで、反対の登り側に見知った顔を見かけて思わず声が漏れる。
腰まで伸びた黒髪、トレードマークの気の強そうな瞳は、幸いまだ正臣を認識しておらず、気だるげに下のフロアに向けられている。
正臣はすれ違う直前で、慌ててコーヒー豆の入った紙袋を顔の前に持っていく。
(平穏な休みを奪われてたまるかっ!)
「あれ正臣?」
すれ違っているのだろう、真横から凛子の声が聞こえるが、無視を決め込む。
歩いて降りようにも正臣の前には親と手を繋ぐ小さな女の子がいる為、それはできない。
「ちょっと無視ぃ!? 待ちなさいよ!」
隣から聞こえたドタバタする音がした後すぐに、背後から肩を叩かれた。
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