第18話
イレギュラーチュートリアルのトライアルフルメニューコースってヤバすぎるだろ。
まずは、美人すぎるウサギの耳を持ったバニーメイドのおむつ替えにはじまり、トラ柄のビキニを着て全身オイルマッサージ付きで入浴させ極楽気分を味合わせてくれる鬼人のメイド。
僕を裸にして全身を嘗め回すように凝視して健康チェックをしてくれる狼人のナース。・・・僕の何を触診するときだけは食べられちゃってもいいかもなんて思う時もある。
話がそれたが、僕が一番お願いしたいのは、豊満で包容力たっぷりのミルクの香りが艶っぽいザ・メイドの牛人のメイドの寝かせてもらうのが至福だ。それだけではなく、ウトウトしている時にはベッド横でおだやかで僕を包み込むように逸話をはなす羊人の執事さん。たまにいろいろ為になる話を聞かせてくれるのも良い。だからこそ最高の眠りの探索者として思わず天国に昇天してしまうかのような眠りに誘ってくれる。
だからこそ、起きている時は僕の気力は充実しており体を動かすことに余念がない。聖女のおばあ様。いや失礼。リナエスはハクの母であるマリルと共に僕のお世話を甲斐甲斐しくしいてくれた。
例えば時には厳しく体の動かし方を教えてくれた。それに続くようにマリルも顔と手を動かした。
「意識して体を動かせば、それだけ早くシナプス伝達がよくなり脳機能が発達しますよ。まだ腕や足をバタバタさせることしかできないなら、ダンスを踊るようにリズムに合わせて右右、左左など組み合わせて動かしたり、右足左腕、右人差し指左足、右足左薬指を同時に動かすなどすればそれだけ脳の発達が向上しますよ」
「あらあら、聖女様ばっかりずるいです私も実践しますわ。」
マリルも左右の手で違うジャンケンの形を同時にリズミカルでポンポンと変えて見せながら右ウインク左ウインクとしながら変顔をして僕を笑わせて来た。
「キャァッ、キャァッ」と僕は笑いマリルのモノマネしようと柔らかな大きなベットで体と顔を動かすのであった。
赤ちゃんの体は疲れやすかったが、時折聖女が僕の体温を確かめるように体に優しく触れるたびに疲れが取れていくことでまた元気になる。そんなことの繰り返しを行いながらも、マリルが程よく
甘い飴を口に入れてくれることで精神的な疲労も感じさせなかった。
同様に、短い時間だが聖者御一行様といくピクニックみたいなお散歩やレクレーション混じりの日向ぼっこが良い刺激であり楽しみであった。なぜなら、さまざまな経験に基づくお話を聞かせてくれたからである。
こんな赤子の日々は僕の得難いスキルスキル向上になる。
毎晩、睡眠学習という名の複数の部位を変幻自在に体を動かすイメージトレーニングや感情のコントロール、想像力を生かしたコミュニケーション取り方、僕が備わっている超能力みたいなスキルなどあらゆることを夢の中で実践できるようになってある程度の脳の発達されてきた。そんな日々がかさなると、いつの間にかより多くの多言語がスムーズに理解できるようになっていた。
今までの僕はアイちゃんとテレパシーでやり取りでこの仮想世界にダイブしても他者の思考が何となく理解できたが喋れないせいか言語については何とかなるかな程度に考えていた。ここにきて多くの多言語を理解できることと、アイちゃんから多少なりの知識を得ていたことで複雑なものまで理解できるようになった。だからこそ、聖女たち含めここに来てからの会話だったりの記憶からも知識を得ることが出来た。
そうだこの頃、強烈に印象に残った話といえばこの話だろう。僕が寝返りが出来て首が据えてきて固定した椅子に座れるようになった頃の話だ。
聖女率いる僕たちお散歩隊が賽の河原近くの学校に視察および野外給食というBBQを楽しむレクレーションに参加した。
しかし、この時勢や事情を知らない赤ちゃんの僕は単純に良い刺激が今日もあるのかなとしか思ってなかった。現世という異世界を模した仮想空間ゲームの中で戦火の嵐が吹いていたのである。大魔法戦争の勃発である。ある国は戦争で国民の大半は殺され国が吸収されてなくなり、またある国の消滅どころか消失する程の大魔法を放ったことで交易する国はなくなったりと殺伐とした世界が広がっていたのである。弱者に厳しく辛い時代のはじまりである。戦火から逃げた人々は亡命を求め大国に逃げ延びたりしたが貧困が招く治安悪化で暴動もおき、さらに酷い扱いを受ける悪循環が起きていた。
もし、僕が幽世ではなく現世でチュートリアルを青年の状態ではじめたら間違いなく巻き込まれていたのかもしれないが、ある意味、幽世でもこの余波を受けるのだから間違いないのかもしれない。
賽の河原にあふれ返る亡者たち。三途の川を渡し賃のない者達が賽の河原に居つく者達がケアをするしかない。
そんな中で大軍を率いる陣営が炊き出しを始める。また別の陣営は怪しい護符やら開運グッズやらを売り始める。同じようにある陣営はキャリ転職の案内と言わんばかりにキャリアコンサルタントも用意して相談を亡者に行う。さらには、賭博も開かれたりと、亡者たちの歓楽街にも似た活気が生まれていた。
さらにイベント会場を設営した陣営は余興とばかりに対戦者を募り、武術格闘大会の開始を宣言して始めたのだ。度の亡者が勝つ負けるなどの賭け事は自然にはじまり、豪華賞品や賞金目当てで出場した亡者たちは一夜の夢の如く熱気と興奮に包まれたのだ。
戸惑いもあるがある意味平和な環境と悟っ亡者たちは少し落ち着きながらも不安と興奮を混じりながらもいろいろと吐露し始める。
「俺は生きていたころ王室御用達のレストランのシェフとして一生を終えるはずだったんだ」
「私は最先端のファッションをプロデュースして社交界にセンセーションを起こしたのよ」
そんな数十万規模の亡者たちは興奮冷めやらぬ状況で様々な生きざまを見栄や愚痴まで話ている。
こんな光景をあえて見せた聖女は僕の目線で話かけてきた。
「ここは幽世にとって最高の最先端技術の宝庫なの。天界と呼ばれる天国や煉獄とも呼ばれる地獄からもスカウト達が見定めてるのよ。通常時なら狂人がいたら治安の為にここに住まう私たちが対処しますけど、今回ばかりは現世の世界全体が乱れているからチャンスとばかりに地獄と天国からも使者が派遣されたんです」
少し恥ずかしそうな聖女の横で手を握っているカップルが小走りにこちら来た。男の手を繋いでない方には大きな風呂敷を背中に担いでいた。
「お義母様。リナエスお義母様。ダンの賞金見て下さい。今回もダンが格闘大会で1万人ぶっ飛ばしたんですよ」
「怪我はない、大丈夫」
「私がついていましたから安心してください。」
そんな息子の活躍の話をしながらも聖女の旦那であるジオの心配してるようだ。それにしても土地柄かもしれないが、どうやらここら辺に住み着いた聖女様の集落の人々は今回の騒ぎに乗じて何やらぼろ儲けをしているみたいだ。
これも聖女の手腕と言わんばかりの計画的な算段をこの後僕は知ることになった。
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