第9話

重厚な金庫のような扉を開けて入るとクリーンルームに入るような6畳ほどの入室準備室があった。その部屋に入ると防寒スーツを着てくださいと入室メーセージが流れた。2分程で宇宙服のような防寒着を着込むと、ヘルメットから空気が流れる雑音だけが少し僕を落ち着かせてくれた。


天井の隅に設置されて警告灯が光る。同時に、スピカーからこの部屋が真空になりますと警告し始める。エアダクトの轟音が僕を少し緊張させる。数分と経たぬ内に今度こそサーバールームに入るための重厚な別の扉がゆっくりと自動で開いた。


そこにはなんと立体プラネタリウムを映しだしったような宇宙空間があった。いくつかの銀河や星雲そして星座のような美し空間はまさに神秘的な光景を映し出していた。


おそるおそる、床にも思えないような漆黒のサーバールームに突入した。


「ここはAIの英知の結晶とも言われるデータはりった3D映像的に確認できる部屋です。災害による被害から復旧させて少し次世代スペックに改修しているところです。それに、莫大な情報を処理するサーバーのエネルギーは超電導状態により電気抵抗をゼロに戻して電気的なパルスを効率的に処理する工夫もしますからご安心を。ちなみに別に核融合炉を建築しておりますので、研究上のリホームを兼ねて、優先順位を兼ねて閉鎖する研究室や機材を建材等にかえたり、ここにあったサーバーの類も再活用しますからあまり気にしないでください。」


「ちょっと待ってアイちゃん。サーバーがなくても大丈夫なの?メインコンピュータールームに行く意味ないよね。」


「ご安心して下さい。次世代スペックのサーバーが稼働してますから。それに、まだまだサーバーを増産しますから。それに、並列するサーバー1万頭の準備を整えていますので今しばらくお待ち下さい。さぁ、メインコンピュータールームはあの扉の向こうです。緊急脱出ポッドを1台はここの隅においてくださいね。さぁ参りましょう。」


僕は強引に進ませようとするアイちゃんに対してオートキャリーに積んでいる医療カプセルや残ってる緊急脱出ポッドもメインコンピュータールームに進もうとして入口と同じような重厚な扉が自動で空いた。


するとまた、6畳程の入室準備室があり警報音と共にスピカーからこの部屋の空気が満ちて真空が解除になりますと警告し始める。いくつか設置してある灯りの消えているロッカーが施錠してないことがわかり、適当に選んだ灯りの消えやロッカーに防寒着を返却した。するとロッカーはガチャっと施錠されライトが点灯した。


「アース様。あらかじめ教えておきますと、サーバールームには基本的にはスライムの体液にも似た液状のような溶液が部屋全体に満たされます。温度は液体窒素程ではありませんが極低温なので万が一に今着ている防寒スーツなど身につけないで入室しないでください。もし、ロッカーから防寒スーツ一式を持ち出すときは特殊アクセスキーが必要となりますので注意してください。セキュリティー対策の一環なので・・・」


いつもより真剣に説明をしていたので注意しなければならないと僕は思った。そしてそんな極地に設置した緊急脱出ポッドが機能するか心配であった。


警報音と警告灯を止みメインコンピュータルームに向かうためドアが自動で開いた。


扉から部屋に入ると僕は思わず息をのみ立ち止まってしまった。そこには天井と壁、床一面に敷き詰めた白く光るプレートが広がる部屋だった。


全く何もないわけではなく、高級クラブにあるようなカウンターにリビングルーム感じるソファーにテーブルや椅子。そして安らぎとくつろぎを目指した癒しの空間にも思えるコタツもあった。


中央にオートキャリーを置き場所を支持しようと僕はうろうろとしながらこの部屋を確認した。


「ここがメインコンピュータールーム?」


「アース様、間違いなくメインコンピュータールームです。チョットしたトラブルがあってリフォームしましたけど。キャリーに積んである携帯端末を改造したコンソールがあれば・・・大丈夫。」


ドカ!ガシャーン!


コタツから何かが這い出し、コタツがふっとんでいった。


瞬く間にオートキャリーの真ん前に置いてあった改造コンソールを奪い、俺たちと入れ違うようにオートキャリーと入れ違うように入室準備室に逃げ込んでいった。


閉まりゆく自動扉をあっけにとられた僕は呆然と眺めることしかできなかった。

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