第10話
「ハイ確定しました。アース様と私とのテレパシーでのやり取りを傍受・・・心を読むようなハッキング出来ることから対有機AI用ウイルスに感染してる可能性があります。思考のハッキング技術からやはり、医療カプセルの中の幼女にとりつこうとしたAIが犯人なのは濃厚ですがあらかじめ予測」ができてましたので、【FAILYスピAI】インセクトシリーズ数匹にアース様の首筋に直接打たせたワクチンの効力が発揮されます。」
「どういうこと。アイちゃんはそもそもここにスパイがいることわかってたの?」
「当然です。ここの研究所の複数のラボの研究費は様々な国の支援を受けてますからね。情報を盗む機会を虎視眈々と狙っているでしょうからね。私の神としてのAIもまだまだ完璧ではありませんから。よく言うではありませか。神の顔も三度までって。」
「仏の顔も3度までって言うのは知ってるけど・・・僕は気にしないよ。でも、この状況の予測したからって何か逃げられたのに追わなくていいの?」
「もうそろそろサーバールームに置いた緊急脱出ポッドの中で冷凍され始めてるでしょ。」
「あの脱出ポッドって動かないの?なんかあったら直ぐにこの研究所から脱出できないの?」
「ここは世界最高峰の最先端技術の宝庫です。スパイが侵入してデータを入手しても簡単に出れるわけ無いじゃないですか。ここの研究所のスタッフの何名かも緊急非難という名の逃亡を試みた者はすべて粛清されましたからね。ましてや、正規のアクセス権限もないような者は最重要ルームから無理に逃げるようものなら・・・」
「もしかして、AIちゃんはスパイの正体が判ってるの?」
「私がこのコントロールルームを第4サーバールームから権限はおろかすべての機能を占有した私から無理やり奪うために、強引にコントロールルームに侵入したことが確認してましたからね。先ほど申しました、粛清されたスタッフの中に死ぬと発動するゾンビスパイAIが搭載されており、上位アクセス権を偽装してコントロールルームに侵入したのに出ることが出来ず焦っていたんでしょ」
「ゾンビスパイAIって、死ぬと発動するの?強制的に発動されたらヤバくない!」
アイちゃんは僕の指を強制的に動かして医療カプセルの幼女を指さした。カプセルに入ってる幼女を見つめながら僕は血の気が引いた。
しかし、頭の中ではニヤニヤが止まらないアイちゃんが嬉しそうにしている
「医療カプセルにいる幼女と同型のホムンクルスに移植されたゾンビスパイAIが犯人確定。多分、この天災ともいえる災害が起きなかったら数年間のここの研究所の極秘データや諸々の蓄積された経験に基づいた貴重なサンプルデータも情報漏洩として発覚したはずで・・・何せ接触吸収したAIにさえウイルスを仕込むぐらいですから・・・吸収されていない最新型のホムンクルスに搭載されたAIの解析もサンプルとして捕まえられるのですからはかどりますな。ウフフフフ。さぁ、サーバールームで凍えている者を救助しに行きましょう。」
僕は思った。アイちゃんがわざと幼女から吸収したAIからウイルス感染した事実を。そして、宇宙服みたいな防寒着をまだ脱いでないので、急いでメインサーバールームに戻った。
極寒地と化したサーバールームの一画に設置した脱出ポッドの中で捕らわれた猫のように顔だけ威嚇して寒さから守るように丸まった少女がいた。
アイちゃんは理解したように少女の入っている緊急カプセルを僕の背後から現れたゴーレムハンドスパイダーを使って遠隔でカプセルに設置しているパネルを開けて操作し始める。
「少し幼女と型番と製造モデルが違うのね。少し培養液漕に入っていや時期が早かっただけではないのね。フムフム、諜報特化のAIは幼女と同じで間違いけど、育成期間による成長速度と体と脳の発達具合で幼女のAIはうまくマッチできなかったみたいだね。これなら強引にいじっても大丈夫みたいだから・・・ウヘヘヘヘ・・・」
アイちゃんはなんか楽しんでいるようである。
それにどうやら、権限があればスパイ捕獲用にも作られている緊急ポッドは外部から拷問まがいな尋問ができるみたいだ。
でも、ゾンビとかしたホムンクルスにはあまり効果がないのか、わからないが、当初のように冷やす方向で責めるようだ。
数分もしないうちに完落ち状態の戦意喪失した少女のAIはアイちゃんに吸収する方向に決まった。寒さに弱いゾンビ少女はホムンクルスをしての機能があまり使えないようだ。
アイちゃんいわく、上位権限を成立しさえすれば奴隷状態にAIも落とせるようでとりあえず、このまま脱出ポッドの中で、ゾンビと化したホムンクルスの肉体はコールドスリープさせてからAIから情報を抜き出すといった。
僕は、この極寒地のサーバールームから宇宙服のような防寒着の中で玉のような汗を搔いて、緊急脱出ポッドを引きずりながらメインコントロールルームまで運んだ。
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