第6話

いつの間にか廊下に流れる警報音が止み、点滅していた廊下の電灯は僕たちが進むべき方向を案内するかのように進むべき進行方向にだけ点灯を繰り返し案内をしてくれていた。


僕が通りすぎると電灯は消え闇に包まれていく様は、足早に走りぬける僕の影が闇に溶けてはまたあらわれ影と闇が光っているようにも感じた。


ときよりアイちゃんは機械音を頭の中で流している。まるで、クラッシック音楽を奏でように流暢でありながらも荘厳で厳格に満ちた機械が流す計算音らしくはない多重に重なったリズミカルでもあり、情感たっぷりの僕の感性を優しく撫でる様な深みとなつかしさに満ちた心揺さぶるように感じてしまう。


廊下を慌ただしくもオートキャリーとともに走り、医務室から幼女を寝かせている医療カプセルと数台の緊急用脱出ポッドを積み込み、メイーコントロールルームに向かう途中、ある事にふときづいてしまった。


「アイちゃん、地震災害が起きてついさっきまで廊下の壁や天井に床が破損してたけど、僕たちが走ってた廊下には破片はおろか塵一つ落ちてないけど。それに壁や天井もひびや崩落してる箇所も無いなんて、ある意味怖いんだけど」


「タスクを早急に復旧させるための緊急リペアの一環だから気にしないで。ナノマシンレベル以上の性能を持ったエネルギー効率最高の有機AIマシン増産して対処させてるからあと12時間以内にこの研究所は復旧するからね。そして、ちょっと研究所を施設いや基地・・・移動・・要塞にするから24時間から48時間以内で何とかするから待ってて。持ちろん外部にはこの研究所が消滅したことにするからよろしくね。てへっ。」


「マジか。そんな便利な有機AIマシンがあれば避難する必要なかったんじゃないの?」


「今まではそんなAIマシンなかったのよ。なかったというより、各国の秘密いや極秘資料集めたおかげで私が生みだしたんです。すごいでしょ。できるでしょ。神に近くなったでしょ。だから私は張り切ってこの施設にある溶液漕を使って1分で作りました。その名もオリジナル有機修理修復改造AIアリシリーズその名も【女王ArI命令ハ絶隊】。そのシリーズの白アリちゃんは物質を溶かすことに特化してるのお掃除ありみたいな感じで、黒アリちゃんたちは修復や構築するのを得意で・・・」


頭の中でなっていた数台のスーパーコンピュウーターが計算しているかのような機械音が一瞬でポップミュージックにかわって陽気なアイちゃんが喋りだしていた。僕は人間らしい身のある感情が出てきたアイちゃんに対して少し頭が痛くなってしまった。


そんな僕にアイちゃんはいきなり体を乗っ取ってきた。何が起きたのかわからないが、右壁向かって横っ飛びしながらも壁をけり宙返りをして、着地と動時にバク転をしながら指笛を吹いた。


訳が判らぬまま、点灯していない右に曲がる角にからのぞく人とらしき者ともう一つ唸る物がいたのだった。


確認したと同時にその物陰に潜んだ者たちは後ろからきた何かに吹っ飛ばされて灯りが煌々とついている廊下の真ん中にさらされた。


僕は乗っ取られた状態から解放されたのも気づかず、オートキャリーに刺さっているナイフを見て床にぺたんと腰が抜けて尻もちしていた。


腰が立たない状態で足だけで後方に下がってると、アイちゃんが頭の中で囁いた。


「緊急ってわけじゃないけど、トラブル・・・障害の1つ片づけたから今は大丈夫だよ。でも、後で手伝ってもらうことになるかもしれないからよろしくね。」


「障害の1つって何なんだよ。それにあいつらは死んだの?」


訳も分からず吹っ飛ばされて絶命している者たちを指さしていた。


「この研究所の保安システムというべきアンドロイドとロボットドッグだよ。災害時の火事場泥棒とかスパイ対策要員といったところだけど、私たちがセンサーに引っかかってたのは解ってたから対処はいろいろしたんだけどね。」


「対処って何をしたんだよ。あんな暗闇からナイフを投げてくる殺人保安アンドロイドってやばいだろ!僕に対する評価は火事場泥棒なのかよ。」


後ろにあるオートキャリーに積んだ諸々を見ながらやってしまったかもしてないと思いつつも、保安アンドロイドを吹っ飛ばした何かが現れ悲鳴を上げてしまった。

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