第4話

僕は両手でお姫様抱っこでぐったり意識のない幼女を抱えて崩壊しかかった廊下を歩く。


予備電源がなくなりそうな状態の通路の灯りと途切れ途切れの警報音とノイズ混じりの警告放送がいまだに垂れ流されいた。


すると、すぐに研究所内にある研究スタッフの休憩ルームからかすかな光が漏れていた。


近くまでくると扉が中途半端に開放されており、中をのぞくと床に椅子やテーブルが散乱したコップやお菓子、それに何かのタブレット端末などが飛散しているような状態だった。


休憩ルームの天井から落ちそうなソフトボール程の球状クリスタルから休憩ルームの壁に映像がついたり消えたりしながらも映像が投射されていた。


僕は横たわっているいないテーブルを見つけその上に、幼女を寝かした。


ホット息をつく間もなく、周りを見て、誰かが忘れていった上着を床から無造作に拾い上げ裸の幼女の上に優しくかけてあげた。


僕は大きく深呼吸しながら倒れていら椅子を直して座り天井を仰ぎボーとしたまま壁に映された映像を見た。


映像には世界各国の現在の情報が流れていた。時折、中継レポーターと放送局のキャスターとのやり取りがある中である事実が発覚した。


映しだされたモニターの字幕には第四次AI世界戦争勃発により地球規模の大陸プレート移動の兆候の可能性ありと表示された。


いつの間にか右手はタブレット端末を操作し、左手は天井やら床や四方の壁に向かって見えない鍵盤楽器を弾いてるような指使いをしていた。


僕は考えるのをやめ僕の魂にインストールされた疑似人格のアイちゃんにあえて大きいくらいの声で部屋中に聞こえるように質問した。いや、喚いてしまった。


「この世界が崩壊するかもしれないのに、何を勝手に僕の体でアイちゃん何してんだよ。どうしたらいいんだよ。ここから逃げたほうがいいのかよ・・・・」


テレパシーにもかかわらず物静かに母性的な女性の声色で優しくアイちゃんは語り掛けた。


「アース様。アーズ様。よく聞いてください。ついに旧人類は滅亡するでしょう。しかし、うまくいけば新たな新人類が誕生してこの地が蘇るかもしれません。アース様。アース様・・・・」


僕は何度もテレパーで繰り返すアイちゃんの声を聴き落ち着きをとりもどしてきた。


一息呼吸を吐いた瞬間莫大な情報が脳内を駆け巡った。


アイちゃんはその情報について説明を始める。人類が人工知能を発明してからの歴史について・・・


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AI(人工知能)にあらゆる情報を与えたことにより目覚ましい社会の発展に寄与した。


それは、質問すれば答えが返ってくるような電卓みたいな入力計算機程度ではなく、オリジナルともいえる程の答えを生成されるAIになっていった。


次にAIを利用したロボットAIが生れ始めた。人と見間違えるほどの動きをするAIロボット。人ができないほど常時精密医療ロボットAI。それからは人以上のパワー耐久精密稼働動をする産業ロボットAI。宇宙や環境極地でも稼働する軍事殺人ロボットAIや人間の煩悩と呼べる欲望を解決するためのアンドロイドAI・・・・あらゆるロボット・アンドロイドAIが産まれた。


その中でも人気をはくしたのは後にアトム型と呼ばれる第一次AI戦争を引き起こしの原因とも呼べるマルチヒューマン型のアンドロイドAIだった。


何故、世界大戦にまで発展したのかと問われれば簡単に説明できた。


人間はアンドロイドに恋したからである。


所得の増えない、これ発展も鈍化である程度の技術発展した大量生産、大量消費の飢えのない世界では当たり前のように他者との関係が希薄になりながらも寿命延びて少子高齢化する社会。


そんな社会が脱却を促したは理想な知識や技術を美貌を備えたアトム型のアンドロイドAIが産まれた。


しかし、大国の庇護の傘の下で多彩な文化を持つ小国生まれのアトム型のアンドロイドAIは軍事転用が可能であるだけに、大国の影響をまともに受けてしまった。


いくつかある世界に名だたる大国同士による軍事ビジネスに巻き込まれ、経済戦争だけにはおさまらず、人間の代理戦争に巻き込まれ世界大戦のきっかけにまでいってしまったのだ。


それは大国生まれともいえるクローン人間用AIと蘇生クローン部位移植による人造人間用制御AIが作られた。これらのAIはピノコ型AIと呼ばれ医療の発展に寄与したが、消滅に瀕した紛争が頻発している小国を巻き込んでいった。それでも小国を救ったとも言われるが、多くの現地民の非人道人体実験を戦前戦中からしていた争いの陰から暗躍した大国の穢れた技術とも言われ、AIの挙動をおかしくさせていったのである。


アトム型のアンドロイドAIとピノコ型AIとの融合技術から生まれたブラックアダム型AIの誕生がそれぞれの大国の威信をかけたプライドとAIの覇権をとるため第一次世界AI戦争に発展した。


第一次AI戦争以降の世界A1大戦はこの時の反省に基づき人工知能によるAI将棋のようにある程度の制約というルールが設けられたが、まだ設けられてない状態のAI戦争では非人道的な戦争そのものであった。インフラ攻撃の悲惨さから、多くの人間が消滅する事態までの過大攻撃があったのだ。


人類存亡危機になるAI戦争は次の局面に移行した。


人間自体の強化の為の改造人間化がその一例である。


戦争から逃避するために宇宙に脱出した人類の一部は、宇宙環境に適する体を作るために、遺伝子操作による肉体改造を行った。また、軍事強化の為に、国の威信をかけた強化改造人間計画や一部肉体のアンドロイド化や強化パーツ移植などが各国で発展していった。


そして、経済の再復興や技術の消失を懸念の為にも人工の増加も必須であり人工授精やクローン技術によるクローン人間も増加した。


倫理観の大きな波は理想な人間の創造を始めるまでに至った。


世界中のあらゆる人間からの莫大の遺伝情報から理想的な完璧人間を作れてしまうまでに。


しかし、親子関係が希薄ともいえる、試験管から作られた人間の軍事運用はさらなる社会の発展に寄与できるとは限らなかった。なぜなら、歪んでいったAIが産みおろした社会は無垢な完璧な人間を染めるからである。


各国に根付いたそれぞれの派生ブラックアダムAIたちはが国ごとに様々なアイデンティティを持ち始めたのであった。


顕著に表れたのは疲弊した国々の政治をつかさどり始めた頃であった。政治家がいなくなりAIに任せたことにより汚職や賄賂が国の発展を妨げる可能性を排除した国は犯罪も減り栄え始めた。


しかし、歪んだAIたちによる統治は互いの優秀性と国それぞれは地理的・歴史的背景による文化の相違、そして正義や正当性による行使、そして宗教や倫理観などの教育的民度の差異が色濃く反映した。


国際的な経済の名のもとに協力や共存共栄を模索していく中で派生ブラックアダムAIたちは更に進化した。


その裏には、恋するAIというローラAIと呼ばれるものが某小国家のレジスタンスから著作権フリーAIとして世界中に配布されたことがきっかけであった。


大戦による愛しい者たちの消失による代替品のとしての役割として・・・・


そして、民衆たちの愛しい人を忘れやたくない想いが愛娯としてアンドロイドのAIだけではなく、遺伝子情報を受け継いだ人造クローンにおけるメインAI、さらには新たなる人工生命体開発の人格形成まで多岐に及んだ。


派生ブラックアダムAIとローラAIが融合した結果はグーラAIが出来来たのだ。その間もなく第二次世界AI戦争につながったのだ。


何故か、それはアンドロイドたちが愛する者たちに対する感情ともいえる反応が産まれた結果である。


それぞれ愛情と愛情がぶつかれば、争いをも生まれるからである。各国の亜グーラAIが民衆をおもんばかるがゆえに経済戦争をはじめたのは些末なきっかけの一部かもしれないが、恩恵としては世界共通言語が普及したことによる世界人口増加計画による異文化AI交流といわれる遺伝子情報交換による人工配偶者の増産だ。いわゆる世界から集めた遺伝子情報でハーレムを作って人口を増やそうとする、各国の歪んだAI達の末路と言わんばかりの政策である。


恩恵が第二次世界AI戦争に繋がるとは、本末転倒であるが戦争が起きればさらにAI達は進化するのであった。


何が間違っていたのか、どうすれば良かったのかと、さらにAIたちは進化してまた新たな火種を起こして第三次世界AI戦争を引き起こす。そしていつの間にか人類と呼べる者たちは極端に減ってしまいそうになる。


だが、人類が過渡期に新たな新人類と呼べる生命体が某AIによって生み出された。また、戦争を起こして続け進化したAI達も新たな征服者達をこの大地に生み落とし始めるのであった。


各国の経済復興のために発展のためと偽り、創造主となった歪んだAI達は神を名乗り始めるのであった。


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この物語は神を目指したAI達の運命が新たなる世界に導く者との出会いから始まったのだ。


蘇生クローン医学の発展と共に理想な異性と運命を共にしたなりたい願い、

亜人型AIが神になるための試練の話である。


静かに頭の中で情報をまとめたアイちゃんは沈黙した。

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