14 小学六年生 夏
夏休み最終日の夜、私は登校初日の服装をどれにするか、おかあさんと相談しながら決めあぐねていた。
以前通っていた小学校は、男女とも指定の制服があったので、学校に着ていく服装で悩むという経験が無かった。
おかあさんは、前の学校の制服を着ていけばいいと言っていたが、それは嫌だった。他の生徒は皆私服なのに、私だけ制服というのは
色々迷ったあげく、薄いグレーのワンピースを着て行くことにした。
「明日、大丈夫かな?」
「大丈夫よ、自分らしく素直にしていれば、みんな仲良くしてくれる」
おかあさんの言葉を信じていないわけでは無かったけれど、やはり少し不安だった。
でも、おかあさんの言葉はうれしかった。
翌日から私は、新しい小学校に、転校生として通学を開始した。
「はじめまして、
担任の先生と一緒に教室へ入り、黒板の前に立って自己紹介をする。テレビで何度も見たことがあるようなシーンの、登場人物になっているようで緊張した。
転校生というのはとても目立つ存在だ。何をするにも注目を集めてしまう。表情、仕草、言葉遣いでどんな性格なのか、
私は、
ここなら、この町でなら、楽しい学校生活を送れるかもしれない。そう思うと、心が軽くなった。
小学校を卒業する頃には、クラスメートはもちろん、他のクラスにも友達と呼べる人ができていた。
父の転勤をきっかけに、私の学校生活は大きく変わった。
とても、良い方向に。
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