15 中学一年生 春
中学へ入学する頃には、何となく自分自身に対する自信のようなものが芽生えていたように思う。
他の小学校から来た生徒もたくさんいるので、昔みたいなことを言いだす生徒もいるかもしれないと思うと、多少の不安はあったけれど、これも
そういった環境が、私の心の中の不安な気持ちや、
特に、最初の席替えで前の席になった男子生徒は、その代表格みたいな感じで、とてもおっとりとした性格だった。少しポッチャリしていて、後ろから見るとクマさんみたいで
授業中、何となくそのマルっとした後ろ姿に、イタズラをしてみたくなった。本当にちょっとした出来心というか、安易な気持ちだった。この町や、この学校を
特別用事があるわけでもないのに、そっと手を伸ばして肩をトントンとたたいてみる。彼はそれに気づいた瞬間、ピクッと反応した。ゆっくりとした動作で、後ろを振り返ろうとしてくる。
どうしよう、何も用がないのにトントンってしちゃった。
私は
ふと、彼が正面に向き直り、そのまま反対側から私の方を振り返ろうとしているのが見て取れる。ヤバいと思って、こちらも
はたから見たら、何をやっているのか
どうしよう、そう思っていると、彼は振り向こうとするのを
授業が終わった休み時間、彼に問われたらどうやって言い訳をしようと考えていたのに、彼はまるでそんな出来事は存在しなかったかのように、何も聞いてこなかった。
前の席に座る彼は、先にも述べたようにとても温厚な性格に見えた。そういった雰囲気を持った人が多い中でも、
まだ知り合って間もないので、正確なことは何も言えないのだけれど、同じ中学一年生だというのに、何か
ともすると、何かをあきらめたような、最初から結果を
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