「青騎士(Blaue Reiter)」(その4)
眩いばかりの一条の光が、彗星の如き速度で二人に迫る。
その光が眼前で更に弾け激しく瞬いたと思えば、その中心に人影のようなものが現れたではないか。その姿は黒木と小原の目にも、
「何だよコイツは…?」
「見たところ、同じ
白銀一色で統一された全身に生体装甲ともいうべき外骨格を持っており、
「そうだろうな。でも、味方ってことはないね」
「同意見ね」
構えることもなく、沈黙を保ちながら白銀の戦士はこちらを見ている。時折、緑色のラインがパターンを伴って浮かび上がるが、悠長に観察している暇はない。
「いつまでそうしてるか知らないけど!」
小原は躊躇うことなく
だが、不動のままである理由は直ぐに判った。よく見ると周囲が陽炎のように揺らいでおり、何かが周囲の空間を歪めており、散弾は着弾することなく消滅しているのだ。
「まるで歯が立たない!?」
「防壁があるなら…」
黒木こと
そこで白銀の戦士は左手をかざすと、
「遂に目覚めたか…」
河上の声が届くはずもなかったが、この白銀の戦士は
「
ナノ・マシンによる超回復の応用から分子レベルでの身体構造変異、その堅牢な生体装甲はあらゆる兵器の攻撃を無効化するのみならず、異空間との境界をも超越することが可能である。
さらに応用として空中に散布することで異空間の防壁を作るという応用性、これでもまだ能力の一部を発露にしたに過ぎない。
「環那、大丈夫か!?」
「ええ、でもまるっきり歯が立たないわね」
「こんなのに構っていられるか。目的は済んだんだ、このまま本丸に転進しよう」
「同意見ね」
二人が異空間から脱出する瞬間、白銀の戦士に異変が起きた。その白銀の体表に
逃走する相手に一手遅かったように見えたが、これで十分だった。この一撃は異空間を貫通し、その先に逃走した二体を見事に狙撃していたのだ。
異空間の中で、その直撃を受けた二人は再び姿を現した。
回避はおろか予測不可能のこの一撃、
「信じられない…」
「空間を超越する攻撃…」
小原と黒木は余りに強大な相手に為すすべなく元の姿となり、そのまま倒れ込んでしまった。
「まだ光の翅が現れていないというのに…」
覚醒から間もなく、本来備える六枚の「光の翅」がなくいわば蛹の状態であったが、これほど能力への順応と発露は驚く他はない。
「健の字らしいな。まったく…」
それでいてあの一撃ならば、二体を異空間もろともに消滅させることなどは容易いはずだが、そうしなかったということは
同時にそれは海藤が
「そうか。彼は心を決めたか…」
「時は来た。ただそれだけだ…」
彼はG.F.O本部襲撃の折りにはと、反撃のために「混沌と創造の裏庭」を展開していたが、そこからでも
そして、この光柱は「
「プラン… もう、少しの猶予もない」
「そうねアリス。もうここで終わりにしましょう」
「そうよ。ねぇ、貴方もそう思うわよね?」
彼女達が背後に視線をやると
その姿は「
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