書きたいことを書けよ!

僕が小説を書いていると聞きつけた知り合いが、こんなことを聞いてきた。


「小説を書こうと思うんだけど、創作術とか脚本術とかそういうの教えてケロ」


僕はこう返した。


「言えぬ。お主が書きたいことはなんだ」


今から、僕が普段からWebライター界隈に言っている「勉強してからライターの仕事引き受けなよ」というのとは、逆のことを書くよ。


全く創作という行為をしたことがない人が、最初に創作論に触れるのは、僕はあまりよくないと思っている。


まず、変に凝り固まるから。


創作論なんてものは、結局のところ、人によるところが大きい。たとえばプロの作家さんでも、人によって全く逆のことを言っているということがある。


プロAさんは「プロットをガチガチに固めたほうがいい」と言い、プロBさんは「プロットは固めすぎないほうがいい」と言う。


そんなことが、当たり前にある。


たった一つの正解なんてない。


最初から「よーし! この偉い作家さんの創作論を真似しーちゃお!」とすると、頭がガチガチになるよ。


それが自分に合わない方法だったとしても、「偉い人が言っているから」とそこから抜け出せなくなる。抜け出すための経験値が無いから。


創作論というのは、ある程度の経験値を得て、取捨選択できるようになってから読むものだと思う。


続いて、創作論を読んだとしても、一番大事なことはわからないから。


「何を書けばいいか」だ。


何を書けばいいかがわからない状態で、何かを書くことはできない。


創作論は進み方の例を提示するものであって、そもそもの進むべき方向を示すものではないんだよね。


進むべき方向がわかっていないのに、進み方を例示されても、どうしようもないよ。


だから僕は、本当に創作をしたことがない人に対しては、こう言いたい。


「書きたいことを書きな! お前の一番書きたい物語を読ませろ!」


僕は、書きたいことを書いている。むしろ、書きたいことしか書いていない。


もちろん、書籍化を目指したいのであれば、売れ線を意識することも大事だとは思う。


ただ、最初から自身の書きたいことより売れ線を優先させるのは、僕はおすすめしたくない。


飽きるよ、うん。


「創作自体を楽しむ」というのは、初心者にはちょっとハードルが高い。そこまでいくと、ジャンキーの領域だ。


はじめて書くのであれば、自分が本当に楽しく書けることを書いたほうがいい。自分が読みたいお話を書くのでもいいし、なにかに影響を受けて「こういう作品が書きたい」と思ったなら、それを書くのでもいい。


とにかく、「これが書きたい」というのがなければ、創作ははじまらない。


だから、最初は創作論とか脚本術とか気にせず、書きたいことを書きたいように書いたらいい。



「それでも脚本術とか知りたい!」


そういう人もいるだろう。


最後に、僕のお話の作り方を好き放題語ろうと思う。


僕は、長編と短編では作り方が全然違う。


短編は、基本的にプロットを立てていない。僕がカクヨムで公開している2000文字前後の短編も、2万文字近い「ダウナーお姉さん」も、僕はプロットを立てずに書いた。


というか、正直、ダウナーお姉さんは結構行き当たりばったりだった。


3話目くらいで世界観設定が頭の中で出来てきて、5話目くらいでストーリーが頭の中で出来てきた。あとはそれをあたかも「最初からこういうつもりで書いてましたよ」と言わんばかりに、締める。


そんな書き方をしている。


正直、あまり褒められた書き方じゃないと思ってるけど。


ダウナーお姉さんの場合は、それがいい方向に作用したんじゃないかと思っている。


続いて、長編の場合だけど……。


長くなるから次回にしよう。


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