尻にアタック

アタックチャンス?


==========


「私は気づいてしまったのだ」

「おー、尊大な感じで来ましたな」

「お前の尻は美尻だった」


「………はぁあ?」

暫くの沈黙のあと、気の抜けた声が上がった。


「今まで気付かずに、すまなかった」

頭を下げる。本当に申し訳ない。心からの謝罪だ。


「えええええ?! 謝るな。ムリムリムリッ」

両手を突き出して拒絶の様相。


「ふむ…」

気づくのが遅かったのが不服か?


「長い付き合いだから分かるよ。なんかしたいのを、俺だったら頼みやすいなぁぐらいに思ってんだろ?」


「そうともいう」


「そうとしか言えんだろッ」





お互いバイトもなく、時間が空いて、翌日が休みとなると、やはりここは、飲みに行こうとなった。

が。

酔ったらそのまま寝れる宅飲みでよかろうと、尾方おがたの部屋で、久々にAVの鑑賞会でもするかとなった。


私チョイスのDVDを掛けて、鑑賞しつつ酒を飲む。


「お前さ。男優の尻、好きだねぇ」

「この角度がいい」

酒が美味い。


「俺はこの巨乳がいいから、互いにウィンウィンで見れるんだけど、見てるものが違って来たのって、いつからだっけ?」

画面から視線を外さず訊いてきた。

「高2」

「即答かよ」

「夏」

「日付まで言いそうだな。そこで止めてくれ。具体的に思い出しそうで嫌だわ」


暫く鑑賞。

次に尾方チョイスをかける。


「えらく尻揉むなぁ。今度別なの借りてくるわ」

「初見か」

「初見。お前、めっちゃ見てるけど、女の尻ぞ?」

別に見てない。言うタイミングはここしかあるまい。タイミングを測っていたのだ。


「お前に言わなければならない事が出来た」


そして冒頭。


「お前さ、宮野みやのに頼んでみるとかは考えないの?」


「あれは観賞用。お前のは、鑑賞も良いのだが、触ってみたい」


「ヌキ合いしたガキの頃とは違うんだよ」

ビールを呷ってる。


「前は触れるのに尻はダメか?」


「あー、そうやって、真顔から情けない顔すんだろ? ウチのラブラドールのラブそっくりで腹が立つぅ〜」


「ダメか?」


「マジに、言いやすいから試したいだけだよなぁ〜」


仕方ないなぁと四つん這いで尻を向けて来た。

「どーぞ〜」

スエットの尻は形が分からん。


取り敢えず触るか。


両手で思いっきり掴んだ。


テレビから高い喘ぎ声が上がったのと、尾方の口から野太い「わぉおッ」と声が上がるのが同時だった。


妙な沈黙が流れる。


「俺、この女優とはチゲーぞ?」

肩越しにこちらを伺ってくる。

「分かってる」

と言いつつ、スエットでは形がよく分からん。あの時並んでフリフリしていた尻。


「もういい? 揉むなぁ」

さっき言ってたのと同じ事を言ってる。

そうか。あの男優もこんな感じだったのかもしれんな…。


「尻でかいな」

「野球部だったからな。下半身鍛えっとそうなるのかな」

「ふーん」

徐にスエットを下ろした。



========


次回、パンツ!

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