尻の持ち主
「これ続けるんだ」
「そろそろ飽きてきてる」
「おッ、珍しい。とうとう告りますか?」
アイスティーにもそろそろ飽きた。
「メニュー取って」
ブスくれた友人が、無言でラミネートされたメニューを寄越してきた。
目に端に愛しの尻を捉える。アイスティーでいいや。
「アイスティー」
尻を見つめる。
今日はピッタリしてデニムジーンズ。
きゅっと上がった尻の形が露わだ。あれでは剥き出しと変わりないではないか!
けしからん。
「ハイハイ」
友人は席を立った。
置いて行った荷物を見ながら、スマホを取り出す。
尻を大写し。
軽くタッチ。
カシャリと軽やかな音と共に切り取られたベストショットを手に入れた。
そっとポケットに戻す。
一時レンズ越しになってしまった尻に再び視線を戻す。
「あっ、
尻が隠れた。
股間をこちらに向けられても萎える。尻を見せろ。
「真顔で、何見てるんだ。顔を見ろ」
アイスティーとアイスコーヒーを持って戻ってきた友人が後ろから声を掛けてきた。
確かに、股間を見てても楽しくないな。
近づいてきた男の顔を見る。
美尻の持ち主は小顔の美青年である。
別に平凡でも、メガネくんでも、そばかすくんでもどうでも良いのだが、美青年だ。
私的には、尻が理想的だからなんでもいいのだ。尻さえ良ければそれでいい。
「また会ったね」
棒読みな平坦なセリフで応じる。
「同じ学科の同じ講義受けてるんだから、会うに決まってるでしょ?」
リップでも塗ってるのかというぷっくりした唇が動いている。
横に座られた。
友人がメニューを渡している。
「僕もアイスティーにしようっと」
荷物を置いて、カウンターに向かっていった。尻がふりふりしている。可愛い。
「真顔で見るもんじゃないだろ。ま、エロエロで見られても困るか」
「なんで、名前バレたんだ?」
「講義の前に出欠とるだろ。みんな知ってるよ」
「私は知らん」
「え、、、
「分かった。感謝」
「
受け取り口でこちらに向かって手を振っている。
友人に腕を掴まれ振らされた。
尻が消えた。心がシュンと沈む。
繰り返すが、股間を見ても面白くない。
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