第2話 どちらから逃げれは良いのだろう!

「シャワー出たわよ、昨日は見せたけどまだ恥ずかしいから後ろを向いていてね」


見知らぬ女が風呂を出て言ってきたので、俺は後ろを向く。

ただ鏡で、全てが丸見えだ。

気づかない女を鏡で見ている俺に、鏡越しで目が合ってしまった。


「何だスケベ、そっちの鏡で見ていたんだ。

まあ結婚するんだからいいか、何回見られてもね」


そお言われたら、振り向いて見たくなるのが男心だよ。

俺は振り向いて彼女を見るが、もお着替えが終わる所だ。


「それで朝食は、何処に行くの」

彼女が喋り終わる時に、携帯が鳴る。


「もしもし、ダンジョン行ったのに何でホテルに居るの?

それもファッションホテルじゃない!

今1人なの、何か言いなさいよ」


ガチャ、俺はけいたいを切り電源を素早く落とす。


「今の声女の人、誰なのかしらね」

後ろで彼女が尋ねてくる。


「何でもない、それじゃまたね」


俺は靴を履き、素早くドアを開けて外に飛び出して行く。

後ろからは彼女の声。


「コラやり逃げか、お前は冒険者ランクBだろう、私はAだぞ逃げ切れる訳は無いだろう」


うわー、よりにも寄ってAランクの女と1夜を共にして結婚の約束までしてしまったのか、絶対に捕まる事はできないぞ!


俺は走る銀座のダンジョンまで、そして中で隠れて過ごすのだ。

そお思って走る俺に目の前の光景が写る。


まずい、あのシルエットは、俺の婚約者だ。


「あらいらっしゃい、昨日から探していたのに自分から現れるなんてね。

今すぐ土下座したら半分は許してあげるわよ、ただ後ろの女は何かしらね!」


俺よりも、後ろのAランクの冒険者を見ている俺の婚約者。


「お前は、私のライバル、血まみれ魔女のヒロミ!」

「貴女こそ何故私の彼氏を追いかけているのかしらね。

走る破壊魔さん」


すると走る破壊魔が俺よりも彼女に向かって行く。


「私は走る破壊魔じゃない、名前はユリナだ、血まみれ!」


そのままヒロミに蹴りを入れるユリア!


「バーリア、そんなもの当たる訳ないよ」

ヒロミは魔法のバリアーを使って、蹴りを防ぐ。


「チィ、それを破壊するのは疲れるから、先にダーリンを攫う」


また、ユリアは俺に向かって走ってくる。

「いや待って、あっちと決着を付けてこいよ」


「おい待て、ダーリンて何、まさしまた浮気したのか!」

俺は手を顔の前で左右に振り返り、否定する。


「昨日一晩の熱い抱擁は何だったの、初めてだったのに」

突然の初めて宣言で、俺は焦る。


「待ってくれ、知らなかったんだ! それに酒で記憶はないよ」


そんな俺の言い訳を聞いたユリアが迫ってくる。

「なら、叩いて思い出させる」

俺を襲うユリアだが、さらに後ろからはヒロミが向かってきている。


「ユリア退け、まさし浮気者今度こそ、出来ない様に切ってやる。

ウインドストーン」


「いや、私がコイツを殺して、私も死ぬ!ゴルゴン炸裂拳」


二つのAランクの攻撃が俺を襲ってくる。

その時、俺の脳裏に小さい頃の妹と遊ぶ姿が思い出される。


「あゝこれが走馬灯かよ」


風と光の塊が俺を襲う。
















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