17 見えない暗殺者 >> MURDEROUS CLARITY ②
「この場合、一握りの真実とは『陰陽師は常に一〇〇%のコントロールで霊気を操れる訳ではない』という部分があたる。
『読者』にとって既知の情報は、そこから続く新情報もまた事実であると認識しやすくなるからね」
「……まァ、それが
そして、その原因となる霊気は怪異の活動や人類が発動する陰陽術の余剰霊気が蓄積されることによって発生する。
──もっとも、この事実は世情不安を抑える為に表向きには公表されていないが。
人類の生活を豊かにした陰陽術だが、それを無秩序に行使すれば
それが『原作』にて語られたこの社会の歪みだった。
「まさにそこだよ。『霊威簒奪』のデマはその為に流したんだ」
ピースヘイヴンは、我が意を得たりとばかりにぱちんと指を弾く。
「『霊威簒奪』を信じた者達は、やがて来る
──つまり、学園領域で霊気淀みの濃度が上昇するスピードも上がり、
「……分からねェな。それじゃあ結局テメェの首を絞めているだけじゃねェか」
ピースヘイヴンの話を聞くだけだと、『霊威簒奪』は
だが、
霊気の奔流による物理的破壊という第一波と、大量発生した怪異の襲撃という第二波。
人類はまだ、この災害を真っ向から克服することができていない。
──精々、『草薙剣』をはじめとした何らかの特殊な方法によって霊気の淀みが一定量以上に大きくならないよう管理するくらいしかできないのだ。
つまり、
そんなことをするのは──
「世界を巻き込んだ壮大な破滅願望でもあるってんなら話は別だが……」
「まさか。そんなチンケな悪党をやるつもりは私にはないよ! これでも私は学園全体を支配する黒幕をやってるんだぞ?」
ピースヘイヴンは、心外とばかりに眉をひそめた。
それから少しムキになったように声を大きくして、
「
……と、ここまで言えばおおよそ策略の概要くらいは分かるかね?」
「……いやァ…………全く」
「えー! もう、少しは考察とかしてくれよー……。張り合いがないぞ」
ピースヘイヴンは分かりやすく肩を落とした。
黒幕というには──そして多くの犠牲を伴うであろう陰謀の根源の話をするには、あまりにもコミカルすぎる手つき。
それが逆に、この原作者にとってこの状況がその程度の取るに足らない事象であることの証明にも思えた。
微妙に説明のやる気をなくしながらも、ピースヘイヴンはしょげた表情のままに続けて、
「まー、理由はそれだよ。隠してもどうせバレるだろうから言ってしまうが、確かに被害は一定数発生する。だが私はこの世界を投げ出すつもりはないよ。
私は私なりの
そこまで言うと、ピースヘイヴンはパンパンと手を叩く。
同時に、
「話は此処までだ。十分にヒントは出してやったことだし、残りは君達で考えてくれたまえよ」
直後、だった。
ドッッッ!!!! と、
◆ ◆ ◆
メイド服型のシキガミクス。
服の生地に織り交ぜたり、各種装飾に備え付ける形でシキガミクスを実装している。
その為、普通の衣服でありながらシキガミクス相応の防御力を備えている。
『女中道具』を取り寄せる能力。
この『女中道具』は前以て作成した『裏階段』に保管されている物品で、発現した段階でシキガミクスの一部として扱われ、霊力によって強化される。
『裏階段』に保管してさえいればどんなものでも『女中道具』として扱うことができるが、術者のこだわりからか『掃除用具』『調理器具』『食器類』『食材』『寝具』以外のメイドに関係なさそうな物品はほぼ置かれていない。
また、術者に限り『裏階段』へ瞬間転移することが可能。再転移すると元の位置に戻る。
『裏階段』は屋根と壁がある屋内にシキガミクスと同様の陣を床一面に記せば最大で一〇個まで作成可能で、現時点で貸倉庫や洋上のクルーザーなど全国に七か所ほど『裏階段』が存在している。
元々は瞬間移動系の霊能だったが、術者の類稀なメイド欲によって物品の超遠隔アポート能力に調整されている。
『
攻撃性:70 防護性:70 俊敏性:70
持久性:90 精密性:90 発展性:95
※100点満点で評価
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