第3話
日々の中で、唯一の救いだった菜々子の優しさも、実は僕を深い絶望へと導いていた。彼女の親切心には、隠された真実があった。
ある日、僕は菜々子と話している最中に、ふと彼女の視線がどこか遠くを見つめているのに気づいた。その視線の先には、僕の兄貴がいた。兄貴は新しい生活を楽しんでいるようで、周囲の人々に囲まれて笑顔を見せていた。
菜々子の表情に浮かぶ淡い笑みを見た瞬間、僕の心に疑念が芽生えた。まさか、菜々子も兄貴のことが好きだったのか?
その後、僕は偶然にも菜々子と兄貴が一緒にいる場面を目撃してしまった。二人は親しげに話し、菜々子は兄貴に対して特別な感情を持っていることが明らかだった。僕の胸に広がるのは、裏切りの痛みと怒りだった。
「結局、誰も信じられないんだな…」僕は一人、呟いた。
菜々子の優しさも、兄貴の偽りの優しさも、全てが僕を利用するためのものだった。僕は深い孤独に陥り、誰も信用できない状態に追い込まれた。家族も、友達も、全てが僕を裏切った。
兄貴への憎しみはますます募っていった。彼が母親と逃げ出したこと、僕を見捨てたこと、そして菜々子の心をも奪ったこと。そのすべてが、僕の中で渦巻いていた。
「兄貴…絶対に許さない…」
僕は復讐の念をさらに強くし、その計画を練り直した。誰も味方がいないこの状況で、僕は自分の力だけで兄貴に立ち向かう決意を固めた。孤独と憎しみが僕を支配する中、復讐の時が近づいていた。
夜が深まる中、僕は暗闇に身を潜めながら、復讐の瞬間を待ち続けた。心の中で燃え盛る怒りが、僕を前へと駆り立てる。兄貴への憎しみが僕を突き動かし、決して消えることのない炎となって燃え上がっていた。
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