第18話 勉強..しよ?

「ほらこれお前らのお土産」


「おお!まんじゅうかありがたいな!」


「わざわざお土産なんて..ありがとう大地!」


「そうだぞ大地がじゃんけんに負けてまで

 買ったまんじゅうなんだから良く噛み締めろよ」


「おいこら智樹」


今は放課後俺は昨日の水族館のお土産を

クラスの人たちに配っているのだ


「ほらゆっきー!これお土産!」


「ありがとうまこちゃん!良いなぁ私も

 行きたかった..」


「ゆきちゃんは英語のスピーチコンテストが

 重なってたからね..また一緒に行こう!」


あっちの美少女グループでも昨日のお土産を

配っている様だ


「じゃあそろそろ俺行くわ..」


「ん?竹下くんはこれから用事があるのか?」


「ああ っていうかお前達には伝えて無かったな.. この事はまた今度ちゃんと話すよ」


「この事..?さっぱり分からんぞ?」


智樹の言うこの事とは夢見さんとの事だろう

俺も昨日初めて知ったので夏生達が知らない

のもしょうがないだろう


「まぁまぁ智樹がまた話すって言ってるんだしさ」


「うーん..気になる..」


夏生が首を傾げながら考えているが分からなそうだ


「じゃあお前らまた明日な」


「おう じゃあな」


智樹はそう言って教室から出て行くのを見送る


「じゃあ私もそろそろ行くよ!」


「じゃあねまことちゃん!えっと..その..

 何かあったら相談に乗るから!」


「ふふ ありがとうかすみん それじゃあ..」


智樹に続いて夢見さんも出て行く

どうやら2人は俺と夏生が前に行った喫茶店で

話をするらしい

昨日俺が「美味しいパンケーキがある」と

伝えたら興味深々だった


(2人とも気持ちを伝え合えます様に..)


俺は智樹達がしっかりと話し合える様にと

胸の中でそっと祈る


「何やってんだ大地?何か気持ち悪いぞ」


「な、! 気持ち悪いとは何ぉ!」


「まぁまぁ2人とも!落ち着きたまえ!」


夏生に止められ渋々やめる


「っていうかヤバ!俺そろそろバイトの時間だわ!」


「え?もうそんな時間!?俺も急がなきゃ!」


天野が急に時間を見て焦り出した

どうやらバイトの時間の様だ

天野と今井は同じバイト先なので2人して急いで準備している


「じゃあな 大地、夏生!」


「おっす また明日」


そうやって2人とも急いで走って行く

今男子グループでいるのは俺と夏生の2人になってしまった


「では鷹藤君!僕たちも帰るか!...と言いたいところだが..

すまない..これからバスケ部の助っ人に行かないと行けないんだ..」


そう言って少し悔しがる夏生

まぁそんな事だとは思っていたから別に良い


「まぁ良いよ お前も頑張れよな」


「ありがとう!では!」


ついに夏生とも逸れてしまってひとりぼっちになった俺..

(今日はこのまま帰るか..いや..本屋に行って料理本買うか..)


今日からはテスト2週間前に入るので立花さんとの約束通り

立花さんと集まることは無い だからこそ暇なのだ


「じゃあ俺も..バイバイ奏さん!立花さん!」


俺は同じく教室に残っていた立花さんと奏さんに挨拶をして帰ろうとする..

だが..


「バイバイ鷹藤君!鷹藤君はこのまま帰るの?」


「え?ああ いや 本屋にでも寄ろうかと..」


「へぇ..鷹藤君テストは大丈夫なの?」


「エット..その..大丈夫じゃ無いんですけど..やってもやらないでも

 変わらないかなって..」


俺は少ししどろもどろしながら答える

この際だから言おう実は俺鷹藤大地は勉強ができない!!

これまで幾度と赤点の地獄を潜り抜けてきた!

だからこそ勉強してもしないでも赤点を取る自信がある!

だからしない!


「鷹藤君..!?それは流石に..」


「鷹藤君が留年しちゃったら私も香澄ちゃんも悲しくて泣いちゃうよ..」


「由紀ちゃん!?」


少しジョークを入れる奏さんだが本心で俺を心配してくれてはいるのだろう


「ま、まあ大丈夫だからさ!」


「本当かな..?...!! そうだ鷹藤君も良かったらこの後私の家で

 勉強しない? 私と香澄ちゃんと鷹藤君で!」


「え?」


奏さんの発言に驚きが隠せない

何で俺まで一緒に勉強しなきゃ..


「えっと..その..俺は..」


「鷹藤君..さっきは少し冗談だったけどね..もし仮に鷹藤君が進級

 出来なかったら私たちだけじゃ無くて悲しむ人がいるんだよ..

だから..」


(う、うぅ 眩しい..!!)


奏さんの頼み方は破壊力が強すぎる..

オーラが直接見えてきそうな頼み方だ..


そして最後にトドメを刺してきたのは立花さんだった


「えっと..鷹藤君..!!」


「一緒に勉強..しよ?」


(ぐわぁぁぁ!!!)


何で破壊力だ!立花さんのしよ?だけで街が一個飛んで行ってもおかしく無い

当然俺はそんなの耐え切れる訳も無かった..


「....い」


「行きます....」


2人とも本当に自分の持っている魅力を認識した方がいいと思う

いやマジで




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