第14話 水族館デート?②

「見て見て!みんな!この魚すっごく可愛い!」


「ちょっ..ちょっと一回休憩させて..」


「わ、私も..まことちゃん元気過ぎるよ..」


「えー!?せっかく楽しくなってきたってのに..」


「まぁまぁ2人もそう言っている事だしとりあえず飯にしようぜ」


水族館に入ってからずっと元気な夢美さんと智紀それに比べ俺と立花さんは

ずっと歩いてたからか疲れてきた

時間は1時ごろそろそろお腹も空く時間帯だ

俺たちは昼ごはんを食べる為水族館の中のレストランに行く


中に入った俺たちは空いている席に着きそれぞれ好きなものを注文する


「それにしても凄い人だね..ちょっと疲れちゃう..」


「どうやら今日は15時半から屋外で特別なイルカショーをやるらしいから

 いつもより人が来てるんだと思う」


「特別なイルカショー? それにしても大地お前こんなに水族館に詳しかったなんてな 知らなかったぜ」


「まぁ調べてきたからな」


今日は立花さん、夢美さんと仲良くなるチャンス..

失敗しないように事前に色々リサーチしてきたのだった


「私ペンギンのお散歩見に行きたいんだけど鷹藤君何時からか分かる?」


「えっと..確かペンギンは..15時からだったっけ」


「15時かー イルカショーの30分前だから少しギリギリかもね..」


「ぺ、ペンペン..」


「木下君..?」


ペンギンというワードを聞いた瞬間過剰に反応する智紀

それもそのはず実は智紀はペンギンが大好きなのだ

何でか分からないがペンギンの事をペンペンと呼ぶ


「ふふ 確か智紀はペンギン大好きだったよねー

 スマホの待ち受けもペンギンだったし」


「お、おい! 夢美!バラすなって!」


夢美さんに暴露されて焦っている智紀

いつもからかう側の智紀がからかわれているのはなんか新鮮だ


「それにしても..まことちゃんと木下君ってそんなに仲良しだったんだね..

一年の頃から同じクラスなんだっけ?」


立花さんが気になったのか2人に質問する 

そういえば俺も智紀と夢美さんが知り合いだったのは前のスポーツテストの時に

初めて聞いた


夢美さんも智紀の事を苗字の木下では無く名前で呼ぶし

2人がどんな関係だったのかは気になる


途端2人の顔が少し気まずそうな顔になる

もしやまずい事を聞いてしまったのか..?

少しの間沈黙が流れる そしてすぐ夢美さんが喋り出す


「べ、別にただのだよ.. う、うん..」


「う、うん..」


「2人とも..? もしかして私..!」


立花さんは聞いてはいけない事を聞いてしまったのでは無いかと

思い 思わず謝る


「ご、ごめんね..」


「い、いいの!いいの!謝らなくて!」


「お待たせしましたーこちらが...」


そうするとタイミングよく店員さんが注文した料理を運んできた


「と、とりあえず食べちゃおっか!時間も有限だしさ!」


「そ、そうだね..」


少し気まずそうな雰囲気が流れるが俺たちは全員お腹が空いていたので

とりあえず食べようとする


「それにしてもどれも美味しそうだな.. 特にこののクッキーとか可愛いな!」


「こ、こら!大地!馬鹿にすんな!」


俺は智紀の頼んだペンギンがプリントされたクッキーが乗っている

ケーキを見て言う


少し気まずくなっていた空気を何とかする為に言った結果

夢美さんも立花さんも笑ってくれている


「じゃあとりあえず..」


夢美さんはそう言ってスマホを取り出して写真を撮る


「わ、私も..」


立花さんも夢美さんに続いて写真を撮り始める

確かにここのレストランの料理はどれも可愛いから写真映えする

だとしても2人は何回も取り直しているのでその間

俺と智紀は見ておくことしかできない


(な、長い..)


女子2人が写真を撮っている間にこっちだけ食べ始めるわけにもいかず

ただ見ておくしか出来ない


「これでよし!..って!かすみんのスマホも充電あと少しじゃん!」


「え!? ほ..本当だ..」


どうやら立花さんのスマホも充電が残り少ないようだ


「とりあえず私のモバイルバッテリー使いなよ!

 でもかすみんカバンとか無いからモバイルバッテリー持つの大変じゃ無い?」


夢美さんの持ってきたモバイルバッテリーは普通のやつより少し大きい

だから充電しようとしても少し邪魔になってしまう


今日の立花さんはカバンとかも持ってきていないのでポケットに入れるのは大変だろう..


「うーんじゃあとりあえず私のカバンで充電しとこか?

 充電回復したら返すから」


「ごめんねまことちゃん..」


とりあえず立花さんのスマホは一旦夢美さんのカバンの中で充電する事になった


「ごめんね2人とも 随分待たせちゃって」


「流石にお腹すいた..」


「ごめんごめん!じゃあ食べちゃおっか..」


「「「「いただきます」」」」


**


「このクッキーめっちゃ可愛いね!ゆっきーに買って行こうか!」


「由紀ちゃん和菓子のイメージがあるけど..」


「じゃあこっちのおまんじゅうにしよっか!」


昼食も食べ終わった俺たちは今お土産売り場にいる


「とりあえず俺たちも夏生たちに買っていくか..」


「1500円..高ぇ..」


お土産とはいえ10個入りの饅頭で1500円は高い気がする..


「なぁ大地」


「何だよ」


「この饅頭買うのじゃんけんで負けた方にしないか?」


「!?何ぃ? 智紀お前こういうので俺に勝ったことないじゃん!」


「今日は勝てる気がするんだよ..ほらやるのか?」


(馬鹿め..お前の癖は分かってるんだよ..)


ちなみにこれまでの戦績は俺の10勝0敗だ

正直言って負ける気がしない

何故なら智紀は最初にチョキしか出さないからだ!!

その後はグー、そしてパー

あいつ自身は気づいていないかもしれないが俺には分かる!


「いいぜもちろん!絶対負けん!」


「言ったな!?じゃあ!」


「「じゃんけんポン!!」」


**


「男に二言は無いからな?」


「はい..」


「それで鷹藤君負けちゃったんだ..」


俺は1500円の饅頭をレジに持って行く

今朝の遅刻と言いじゃんけんで負けといい今日は本当についてない..


「はぁ..」


「まぁまぁ次はお楽しみのペンギンなんだからさ元気出そうよ!」


「まぁ確かに..」


智紀に負けたのは悔しいがまだ本日メインイベントのペンギンと

イルカショーが残っている切り替えて行かねば


「その前に俺ちょっとトイレ行ってくるわ」


ペンギンの散歩まではまだ少し時間があるそれまでにトイレに行っておきたかった


「あ、私も!」


「じゃあ俺と立花さんはここで待ってるからな」


「了解!じゃあまた後で」


そうして俺と夢美さんは一回みんなと別れた


**

約5分後俺と夢美さんは智紀たちの所に戻ろうとしていた


「鷹藤君なんかさっきよりも人少ない?」


「言われてみれば確かに..」


さっき俺たちがお土産を買っていた時は周りに人がそこそこいた


「まぁ立花さん達はいるはずだから」


俺たちは少し歩いてお土産屋まで着いた

そこには..


「え!? 智紀たちは?」


何とそこに立花さん達はいなかった


「何でだろう?」


「分かんないけど一回智紀に電話してみる!」


とりあえず俺はスマホを出して智紀と連絡を取ろうとする だが..


「あ.. スマホ充電切れてた..」


朝充電するのを忘れたせいで肝心な時に使えない..


「じゃ、じゃあ私が..」


そう言って夢美さんはスマホで立花さんに電話をかけようとする


「あっ..」


「かすみんのスマホ私が預かってたんだった..」


「え...」


そういえばさっきレストランで充電のために夢美さんが立花さんのスマホを

預かったままだったのだ


「私たち 迷子になっちゃったね」


今日はとことんついてない




 





 

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