第13話 水族館デート?①

「このクラゲさんすごく綺麗だね なんていう種類なんだろう?」


「これはねミズクラゲっていうクラゲで傘の部分に白く透けた四つ葉のクローバーのような形をした胃と生殖腺があって...それから...」


「へー 鷹藤君って料理の事だけじゃ無くて海の生き物達も詳しいんだね..」


「凄いな大地!見直したぞ!」


「別に普通さ 他にもわからないことがあったら何でも聞いてよ!」


そういえば何で俺は水族館にいるんだ?まぁ立花さんも智紀も褒めてくれているし別にいっか!


「..おに...」


(おに? なんか聞こえる..)


「お兄ちゃん!!!」


「わぁ!!」


突然耳元から大声が聞こえて俺は飛び起きる

どうやらつばめに叩き起こされたみたいだ

という事はさっきのは夢だったのか

夢の中とはいえ立花さんに褒められていい気分だったのに


「何だよ人がせっかく気持ちよく寝てたてのに」


「お兄ちゃん今日友達と約束あるんでしょ! もう9時半だよ!」


「は!?」


急いでスマホを見るそこにはしっかりと9時半と書かれている

約束は確か10時だったからこのまま行くと遅刻してしまう!


「これはやばい!!」


俺は急いで昨日用意した服に着替える

結局いい服がなかったので白のシャツに今は海外にいる父さんが昔くれた

ジャケットを羽織る事にした

本当は髪のセットにも時間をかけたかったがこれは仕方ない


「行ってきまーす!」


大地「ついさっき起きたから少し遅れるかも マジですまん」


智紀「全く..何やってんだ!はよ来い!」


一応智紀に連絡を入れておく 

くそぉ..どうしていつも俺はこんなにギリギリなのか

男子グループで遊びに行くならまだしも今日は立花さんと夢美さんもいるのに..


それにスマホの充電は残り10% 昨日充電するのを忘れたせいだ

とことん自分のだらしなさというか管理不足というかを恨む


「ハッハッ.. ハァ..」


集合場所の○○駅に着いたので急いでホームから出る

少し申し訳ないが急いでいるので小走りで向かう


少しすると駅の中のコーヒーショップの前で智紀たちがいるのが見えた


「おーい! ハァハァ..ごめん遅れた..」


「おっ来た来た お疲れ様ー」


「鷹藤君大丈夫? 息が荒いけど..」


「大地..お前..」


心配してくれる夢美さんと立花さん

そしていかにもキレている智紀


「いや本当にすみません..」


「はぁ..まあ俺も来たの少し前だけど2人なんか30分前から待ってたみたいだ  

ぜ?」


「え!? 立花さんも夢美さんも本当にごめん!」


「た、鷹藤君!顔をあげて!私達は大丈夫だから!」


「そうそう!っていうか鷹藤君なんか大人っぽいね今日のファッション!」


「え?そ、そう..?」


夢美さんの言葉に思わず反応してしまう


「うーん..大人っぽいというか..おじさんぽいというか..?」


「は!?智紀お前!何言ってんだよ!」


こっちだって数少ない選択肢から頑張って選んだのに..

まぁ父さんのジャケットだからそう思われても仕方ないのか


「わ、私は大人っぽい鷹藤君もかっこいいと思うよ!」


「立花さん!?」


まさかの立花さんからのフォローが入る やばっ 嬉し


「おお!言うねぇかすみん! そんなかすみんもめちゃくちゃ気合い入ってるじゃん!」


「ちょ、ちょっと誠ちゃん!」


夢美さんからからかわれて慌てている立花さんだが

確かに今日のコーデはめちゃくちゃ可愛い


彼女のイメージ通りの爽やかな水色のコート

かぶっている帽子もより一層彼女の可愛らしさを掻き立てている


そして夢美さんも少し派手だが彼女のイメージに合っている服装

当たり前なのだが2人ともやっぱり最高に美人だ

ファッションといい自分自身の良さを知っているかのようだ


(智紀も..悔しいけどカッコいいし..)


普段から遊んでいるので知っていたが智紀はカッコいい

身だしなみもちゃんとしているし ファッションにも人一倍詳しい


4人の中で俺だけが芋臭い感じだ これからは身だしなみもちゃんとしよう..


「はぁ..みんなオシャレすぎる..」


「まぁまぁ今度服買いに行くの付いてってやるから..」


「智紀ぃ..」


「まあさ!とりあえず時間も有限だし水族館に向かお!

 鷹藤君ちゃんとチケット取ってる?」


「あぁこの通り」


俺は事前に取っておいたチケットを出す

今回行くところは都内でもかなり人気のところだから当日では入れないと思い

3日前から予約しておいたのだ


「良かった..大地の事だからチケットまで忘れるんじゃ無いかって心配してたんだよ...」


「いやいや流石の俺でもこれは忘れないって!」


「でも遅刻したじゃん?」


「それは..すみません..」


そこを突かれるとぐうの音も出ない


「まあとりあえず レッツゴー!」


こうして水族館に向かった俺たちだった








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