第10話 大事な話

「お前らに大事な話があるんだ..」


「どうしたんだよ 久しぶりに集まったと思ったら急に話って」


放課後俺たちは男子グループでハンバーガーショップにいる

今日は立花さんと予定がある日ではないので久しぶりにこいつらと遊びに来ているのだ


「今日のお前 いつもに増して様子がおかしかったぞまた立花さん関連か?」


「そうだけど.. 」


いつもおかしいみたいな言い方してくる天野に一発アッパーカットを入れてやりたいが話を


「あのさ...」


俺は昨日立花さんと夢美さんと遊びに行く事

立花さん達と遊びに行く為にもう1人男子が必要な事を話す


「まじかよ...!なにそれ!最高じゃん!行く行く!でもなぁ...」


一番最初に乗ってきたのは予想通り天野だった

天野も俺と同じ彼女がいない

だから出会いを常に求めているこいつは来てくれると思っていたのだが

だが...


「天野お前今週の土日どっちもバイトじゃないのか?」


「くぅ..そうなんだよな しかも俺のバ先人手不足だから

 抜けるわけにもいかねぇんだよな..」


天野それに今井は土日はバイトがあるみたいだ


「どうにかその日にちを来週に出来ないか?

 来週なら今のうちから連絡したら空けれるはずなんだけど..」


「うーん..でも来週からテスト期間に入るだろ?俺たちは良いけど

 立花さんと夢美さんは忙しくなるだろし」


俺たちはそもそも勉強なんかする気がない

だが成績優秀で真面目な彼女達だ 彼女達の勉強を邪魔する気は無い


「そうだよな..悔しくけど今回はパスだわ」


「そっかそうだよな..」


そもそもがいきなり決まった事なので予定があるのは仕方がないだろう

無理なお願いだとは分かっているがどうしてももう1人欲しい


「夏生は?..ってまぁお前は忙しいから無理そうだとは思うけど」


「すまない..本当は力になってあげたいのだが今週はバスケ部の助っ人に

 行かないといけないんだ..」


「まあそうだよな」


夏生に関してはそんな事だろうと思っていた

言わずもがな夏生の運動神経はバグっている


この前のスポーツテストのシャトルランでも140回というプロ顔負けの記録を出して周りをドン引きさせていたくらいだ


にも関わらず部活に入っていないから事あるごとに色々な部活から助っ人を頼まれているので驚きはしない


「そ、それに..」


「ぼ、僕はか、彼女がいるからな..

 大事な人がいるのに他の女子と遊びに行くと怒られてしまう..」


それが今回1番の問題 こうなっていると残るのは智紀だけだが

その智紀にも彼女が既にいる事だ


「智紀ぃ..」


「お、おいそんな目で見るなよ確かに協力できるなら力になりたいけどよ」


「でもこうなると智紀くらいしかいなくね?予定が合う人的に

 智紀どうせ土日暇だろー?」


「それはそうだけどよ..」


「それに1年の時普通に友達だったんだろ?智紀だったら夢美さん側も

 安心するだろうしさ」


天野達がどうにか智紀を説得してくれている

本当は彼女のいる智紀にこんなお願いするのは申し訳ないと思う


だけど智紀以外となると本当に一緒に行く人が思い浮かばなくなってしまう

智紀もそれを分かっているのか悩んでいる様だ


「うーん..確かに俺以外となるとな..」


しばらくして智紀が恐る恐る言う


「ちょっと待てよ..今彼女に聞いてみるからさ

 でももしダメって言われたら別の人を探すんだぞ?」


「..!ありがとう!」


「ちょっと待ってろよ」


智紀は彼女に電話をかける為一度店の外に出る

その間俺たちは智紀がダメだった場合を考える


「なんだかんだ大地に優しいんだよなー あいつ」


「いや本当に..聞いてくれるだけで嬉しいわ..」


「でももし智紀がダメならどうすんだ?

 俺の知り合いに聞いてみようか?」


「うーん..俺だって知り合いはたくさんいるけどさ

 こういうのを頼める感じじゃ無いんだよな..」


正直俺は友達がいないという訳ではない


小さい頃からそれなりにクラスでも目立つ方だったからか顔見知りは多い

だが俺は浅く広く交流をするタイプなのでこういうのを頼めるのは

特に仲の良い男子グループくらいなのだ


「うーん..」


やっぱり智紀しかいないのかもしれない

ワンチャンをかけて智紀を待つしか無い


ウィーン

しばらくすると自動ドアが開く音がし、外から智紀が戻ってきた


「智紀どうだった!?」


俺たちはドキドキしながら智紀に聞く どうなんだ..


「はぁ.. 貰ったよ許可 『別に良いよー』だってさ

 それはそれで少し俺も複雑なんだが..」


どうやら彼女さんから許可を貰えたらしい

少し顔を歪めている智紀をよそに俺はほっとし深く息を吐いた


「おお!!良かったじゃん!大地!」


「よ、良かった..まじでありがとう智紀..」


「全く!こういうのはこれで最後にしてくれよ?

 俺だって彼女心配させたく無いんだからさ..」


「ああ..とりあえず智紀がいるなら安心だよ..

 マジでありがとう!」


色々あったが智紀が一緒に来てくれる事になった

俺はすぐさま立花さんに智紀が来ることを連絡する

智紀には感謝しても仕切れない


「じゃあ詳しいことはまた連絡するわ」


遊びに行くメンバーが決まった事で深く安心した俺だった










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