第9話 放課後
「痛たた..まだ昨日の足が...」
「大丈夫鷹藤君?でも私も痛いかも...」
昨日の地獄のスポーツテストの疲れがまだ残っているのか足がジンジンする..
そしてどうやら俺だけじゃ無く立花さんもらしい
今日は火曜日そして放課後 俺と立花さんはいつもの様に空き教室に集まっている
昨日も本当は集まる予定だったが昨日はお互い疲れもあってか休みになった
だから立花さんとこうして集まるのは料理教室ぶりかもしれない
「なんか凄い久しぶりに感じるねこうやって喋るの」
「確かに..あの日は色々あったから余計に久しぶりに感じるのかも」
あの日は立花さんの妹の涼風ちゃんも一緒だったから印象深い
つばめの話を聞く感じあの後も涼風とは仲良くやっている様で安心だ
「まあとりあえず作ってきたから食べよう ほら」
「昨日のやつも凄く美味しそうだったよね!!」
今日俺が作ってきたのは鶏のレバカツだ
「レバーは人によっては好き嫌いが分かれる食材だけどカラッと揚げることで
その臭みを消すことが出来る それに鶏肉は疲労回復にも良いから 丁度良かった」
このレシピはこの前買った料理本に載っていたものをアレンジしたやつだ
スポーツテストの疲れを取ることが出来るメニューを考えた時に1番良いと
思ったのが鶏肉だった
「私実はレバーってあんまり食べたこと無いから味が少し気になるけど
『たかたかチャンネル』で出てるやつだから大丈夫だよね!!」
それはもちろん 食べやすく面白い料理が『たかたかチャンネル』の
テーマだ 好き嫌いがある人も食べれる様に工夫している
「それにしてもタイミングがすごく良いよね
スポーツテストで疲れている日に疲労回復料理って!」
(...!? た、確かに!!)
そういえばそうだ 立花さんに言われるまで気が付かなかったが
確かにタイミングとしては不自然だ
(こ、これは もしかしてバレてる...?)
もしかしたら立花さんの事だ 気づかれているかも..
だとしたら完全にやらかしている!
俺が今まで立花さんに嘘をついていたことまでバレたら嫌われる..?
それは嫌だ!!
「まぁたまたまだよね!」
(あ、)
(あぶねー....!!)
どうやら立花さんはまだ気づいていないようだった
危機一髪 助かった
「そ、それよりさ 食べちゃおうよ」
「確かにそうだね いただきます」
彼女は毎回しっかりと手を合わせてから食べ始める
こういったマナーもしっかりとしている人だ
「....!うん!サクサクで美味しい!レバーも苦くて硬いイメージがあったけど
全然そんな事無いんだね!!」
「うん 少しバジルを加わっているから苦味も抑えられてるし
揚げ方も工夫したからふわふわとした食感になるんだよ」
「うーん!!美味しい!私もこういう感じに揚げれたら良いんだけどね!」
「揚げるのは少しコツというかテクニックがあるんだ
そうだ!じゃあ次の教える料理はとんかつにしようか」
「賛成!お願いします師匠!」
彼女は次々と食べていく口に入れるたびにほっぺたを押さえて喜んでいる
彼女をみると自然と笑みが浮かんでくる
(楽しいな..うーん..教室でも喋れたら良いんだけど..)
最近の俺の悩みそれはクラスで立花さんと喋れない事だ
主な理由としてはお互いクラスで所属しているグループが違うからだろう
立花さんは言わずもがなクラスのお嬢様グループ
そして俺たちはどこにでもあるバカな男子達が固まっただけのグループ
そもそもクラスで話すきっかけが無い
あのグループでも奏さんは前に喋ったことがある
それに俺と立花さんの関係も知っているから喋るのは容易だ
問題はもう1人の
クラスどころか学校中の人気者でその綺麗な青い目が特徴の女子だ
立花さんはいつも奏さんそして夢美さんと一緒にいるから
自然な流れで夢美さんとも仲良くなった方が良いのだろう
「あのさ立花さん!」
「うん?どうしたの?」
「ちょっと気になっていたんだけど夢美さんってどんな子なの?
いつも立花さん達と一緒にいるからちょっと気になっちゃって」
「誠ちゃん?凄く良い子だよ!運動神経も抜群で何でも出来るし
それに困っている人は放って置けないというか!
とても優しい子だよ!」
(確かに..イメージ通りだ 別に夢見さんだったらここまで警戒する
事もないのかな...)
予想していた通りいい人だというのは分かった
だがそれでも自分から話しかけに行くのは少し勇気がいる
「いきなり聞いてきたけど..もしかして誠ちゃんの事気になってたり..?」
「え..!?」
立花さんのまさかの発言に思わず声を出してしまう
「ち、ちがうよ!あのさ立花さんいつも夢美さん達といるでしょ?
それでどんな人なのかちょっと気になっただけだよ!」
思わず前のめりになってしまう 俺は立花さん一筋だ
決して夢美さんに心移りした訳ではない!
「ふふ そんなに必死にならなくても分かってるから!
ちょっとからかってみただけだよ」
いたずらに笑っている立花さん くぅ..心臓に悪い
「あのさ..俺本当はクラスでも立花さんとおしゃべりしたいんだ..
こんなLoinでコソコソ喋るだけじゃ無くてさ!友達なんだし!」
俺の発言に立花さんも頷く
「うん 私も確かにクラスで喋ったりできないのは少し寂しいって思ってたの
まぁでも確かに私たちと鷹藤君達あんまり接点が無いから..
強いてゆうなら誠ちゃんと竹下くんが同じクラスだったって事かな?」
竹下君?ああ智紀のことか 苗字だと一瞬分からなくなってしまうのはあるあるだろうか そういえば昨日も智紀は夢美さんと同じクラスだったって言っていた
「そうらしいね..うーん夢美さんとも仲良くなれたら俺たちと立花さん達が
喋るのも自然に出来るんだけどな..」
正直夢美さんと仲良くなるって言ってもその仲良くなる方法が思いつかない
うーんどうしたことか
俺が悩んでいると立花さんがまさかの発言をする
「だったら今度の週末に鷹藤君と私の誠ちゃんとかで遊びに行ってみる?
そこでだったら仲良くなれるかもだし!」
(えええ!!まじ?俺立花さんですら遊んだことないのに..)
立花さんとの料理教室は至って真面目な時間なのでノーカンになるだろう
そうなると初めての外出になる
さらにそこに夢美さんも入るとなると緊張がやばい..
俺1人に美少女2人は流石にこっちの身が持たない
「あ、あの立花さん?流石に俺1人と女子2人は流石に..」
「うーん確かに..でも私もね鷹藤君達と私たちも仲良くしたいって思ってたの
だから凄く良いと思ったんだけど..」
頭に指を当て悩んでいる立花さん
うーん ここは正直凄くチャンスな気がする
せっかく立花さん側も仲良くしたいと思ってくれているならこの機会は大切に
した方が良いと思うのだ
「じゃあさ 俺1人だと少し心細いからこっちも1人男子を呼んで良いかな?」
悩んだ末思いついたのがこれだった
ちなみに一緒にくる男子はまだ検討がついていない
「確かに!2対2だったら丁度良さそうだね
誰が来るとかは分かっている?」
「うーん..今のところはまだ..明日あいつらに聞いてみるよ」
「分かった!じゃあ私からも誠ちゃんに話をしておくね!」
「ありがとう立花さん.. ってもうこんな時間!」
いつもの事ながら時計をみると5時半そろそろ帰った方が良い時間だ
すぐさま教室を掃除した俺たちは玄関に向かう
「じゃあね立花さん また連絡するよ」
「うん!今日はありがとう!凄く美味しかった!
じゃあまた明日学校でね!」
校門でいつもの様に別れる俺たち
俺の頭の中はもう1人の男子を誰に頼むかでいっぱいだった
(まじでどうしようかな?智紀も夏生も彼女いるし..
だったら天野か今井か?)
「うーん」
結局その後家に帰るまで悩んでいた俺だった
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