第8話 地獄のイベント

「はぁはぁ...」


「頑張れ鷹藤君!!君なら行ける!まだやれるぞ!!!」


「大地!まだいけるぞ!!頑張れ!!」


「はあ...ほんと最悪だ....」



状況を説明しよう

ただいま俺はシャトルランなるものをやっている最中だ


昨日のパンケーキの幸せな気分はどこに行ったのか...

いやな電子音を聞きながら体力がある限りエンドレスに走らされる

地獄の中に今俺はいる..


シャトルランだけじゃない..ついさっきまでは反復横跳び...状態おこし... こんな地獄を連続で味わう事になる日__今日はスポーツテストなのだ


「はぁ..もう無理...」


限界を感じた俺はすぐさまフェードアウトする

男子たちの中でおそらく1番目の脱落者だ


「お疲れ様だ鷹藤君!えっと記録は42回だな!」


「去年の記録より伸びてるんじゃないか?それでも最下位だけどな」


「うるせぇ..智紀..」


周知の事実だと思うが俺は運動ができない

いや正確には走る系のスポーツが出来ない


ボール投げや50メートル走 1回ならそこそこの記録は出せる

だが俺には絶望的に体力が無いのだ

そのせいで男子グループにはよく馬鹿にされている


「はぁはぁ...」


走り終わったといえまだ息がきつい

走っている人の邪魔にならない様に端っこで休憩する


「智紀と夏生は次のグループだろ?準備できてるのか?」


今走っているのはAグループ そして智紀たちは次のBグループだ


「うーむ 緊張はしないが少し水分を取っておきたい気分だな!」


「確かに 長丁場になりそうだからな」


ちなみにこの2人悔しいが運動神経抜群だ

夏生はまあ分かるが智紀まで運動できるのはわけが分からない 不公平だろ!


「智紀が途中で何かしら起きてリタイアしますように..」


「おい大地 お前何祈ってんだよ」


「まぁまぁ2人とも!とりあえず次が始まる前に

 給水機に行かないか?鷹藤君もつかれているだろうし!」


確かに走ったばっかで喉が渇いた

ここは夏生の言うとおり給水機に行くことにしよう


「賛成 じゃいこう夏生」


「おい大地!置いていこうとすんな!おい!」


**

そうして給水機に向かう俺たちだが夏生は体育委員だからか

記録を取らないといけないらしく智紀と2人で行く事になった


体育館を出るとグラウドではちょうど女子のスポーツテストも並行している

どうやらボール投げをやっている様だ


「お前何じーっと見てんだよ」


「み、見てねぇよ..その、参考までに..」


「何の参考だよ!」


グラウンドからはボール投げが終わった女子たちが次の種目に行こうと

ぞろぞろと歩いてきてる


そしてその中にいたのは...


「ほら大地!お前の大好きな立花さんがいるぞ!」


「大好きっていうな!恥ずかしいだろ!」


そう言いながらもつい智紀の指さす方を見てしまう

そこでは立花さんが美少女グループで話をしていた


立花さんはいつもとは違い髪を結んでいるそして体操服により強調されるボディ..

これはとてつもない破壊力だ


「俺から見てもあれは可愛いな..全くあれで彼氏いないとか恐ろしいな」


そうすると智紀は周りに人がいない事を確認しつつも万が一他人に聞かれない様に俺にそっと耳打ちして来る


「おい大地..お前立花さんとは順調なのか?料理を教えているってのは聞いたけど

 お前たちクラスでも喋っているの見た事ないしさ」


「ま、まあ今のところは..クラスではその周りの目があるから喋りにくいんだよ」


立花さんとは動画の料理の事や料理教室の事でそこそこ仲良くなったとは思う

ただクラスで喋れないってのがお互い気がかりだと思っていた


「周りの目って..それは主に美少女グループの他2人のことか?」


智紀のいうとおり俺が心配しているのは美少女グループの2人である

奏さんと夢美さんの事だ

奏さんとは前に電車で話したし連絡先も交換した

そしてなにより俺と立花さんが友達である事も知っている様だから別に良い


だがもう1人の夢美さんは1度も喋ったことがないから不安なのだ

あの3人はいつも一緒にいるから立花さんと喋る=あの3人の中に入るという事になる


「夢美さんとはあんまり喋ったことが無いからな..」


「うーん..喋ったことが無いのが夢美だけだったら何とかなるんだけど」


「え?どういうこと?」


智紀の謎の発言に耳を疑う


「どういう事も何も 俺、夢美とは1年の時でクラス一緒だったから喋りにいけるんだけどな..」


「え?そうなの!?」


初耳だったでもこれなら確かに智紀と2人だったら美少女グループにも話に行ける


「でも大地お前もう1人の奏さんと喋ったことないだろ?」


「いや俺前に電車でたまたま奏さんと一緒になってさそのまま        一緒に登校した事あるんだよ」


智紀が驚いた表情でこっちを見て来る

あ そういえばその事智紀に言うの忘れてたわ


「なんだよその話!てかお前立花さん一筋って言ってたのに

 奏さんとも登校してたのかよ!!」


「あれは事故みたいなもんだから!!俺は本当に立花さんひとす..」


「あれー委員長何やってんの?休憩?」


俺が『立花さん一筋』と言おうとしたタイミングでちょうどクラスメイトの

女子に話しかけられる


「..!!びっくりした!もしかして聞いてた?」


「いや委員長のでかい声しか聞こえなくて何言っているか分からんかった!」


あ、危ない...立花さん本人じゃ無いとはいえクラスの女子に今の会話なんか

聞かれてたらその瞬間クラスで嫌われるは確定だろう


「ふ、ふぅ..それで女子たちはもう戻るか?まだ時間あるけど」


「そ うちら午前中の種目はとりあえず終わったから

 少し早めにクラスに戻ることにしたんだ」


どうやら女子たちはもう終わったらしい

もうそんなに経っていたのか..


って そういえば俺たち結構長い事ここにいるよな?


「委員長たちこそずっとここにいるの?テスト中じゃない?」


確かにそうだ 俺が終わってからもうしばらく経ってるはず..

て事はだ もしかして...俺たち...


「あ!そういえば智紀お前!!」


「ん?どうした?って...あ!!」


どうやら智紀も気がついた様だ 


「「次のグループ始まるじゃん!!」」


だが気づいた時には時すでに遅し

既に体育館から鬼怖い事で有名な体育教師がこっちに向かって来てた


「おいコラァ竹下!!!いつまで休んでんだ!もう次のグループ始まるぞ!!」


「ひぃ!!すんません!!今戻りますぅ!!」


体育教師に引っ張られる形で体育館に連れ戻される智紀


(すまない智紀...)


内心さっき俺の記録を馬鹿にされたバチが当たったのだと思いスッキリしたが

俺の相談に乗ってもらっていたせいで遅れたので少し申し訳なくなるが

まあいっか!

それより喉がカラカラだ給水機から俺は水を飲もうした

がその時...


「こらぁ!鷹藤君お前もいつまで休んどるんじゃい!!」


「え!?俺も!?」


「当たり前じゃ!!はよ戻ってこんかい!」


(そ、そんなぁ..)


智紀と同じ様に体育館に引っ張り戻された俺たちだった











  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る