第8話 アタオカ娘は天使、らしい

あれから無事クリスと合流し、家路(アパートの自室)に戻ってきて、彼女が料理の腕を奮っていた時、窓がコンコンと小さくノックされた。

最初は聞き間違いだとスルーした多田克典ただかつのりだったが、スルーする度にそのノック音が酷くなる。

しまいには虫の羽音ではない何かがどん、と音を立て窓を揺らした。


「なんだ? 鳥がぶつかってきたのか? 」

申し訳程度にとりつけたカーテンを引くと、彼の視界に飛び込んだのはーーー



「酷いですう、天使は鳥じゃありませんよ」


なんと、パタパタと背中から真白き羽を生やした、先程多田がアタオカ娘だからと警察に保護してもらった黒髪ボブの少女だった。


「多田克典さん、お料理出来ましたよーって……ま、マリー? 」


その時ちょうど料理の皿を持ってきたクリスが入ってきたことで、場の混乱度はいやました。



◇◇◇

閑話休題。

あれから一混乱あり、とりあえず多田の腹が料理を寄越せと唸ったので、皆で料理を食べる事になった。

天使様二人は仲睦まじくしていたので、多田のアウェイ感は半端なかったのだが。部屋主なのに何故。

改めて天使様だと思って少女を見てみれば、まあ確かにクリス程でないにしても、黒髪ボブ少女も見目良く、よくよく成長していけば美しい美人になるだろう。そう思わせる容姿をしていた。

その頃には起伏のない胸も、クリスのような立派なものへと変わっているのだろう。

なんせ、天使様という存在はナイスバディとしてメディアミックスでは描かれる事が多いのだから。


場にある料理があらかた片付いた頃、ようやくひとごごちついた三人が話を切り出した。

「あのですね、」

「多田克典さん」

「んで、お前はなんなんだ」


見事に三人揃っていた。

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