第6話 仕事しなきゃダメか?

天使様もとい、クリスとの生活がぎこちなく始まったが、多田克典ただかつのりは悩んでいた。

蓄えはあるにはあるのだがそれも何れ底をついてしまうだろう。そのまえに職を探さねばなるまい、いや、しなきゃならないのか?

出来ればしたくない、絶対したくない。

またたらい回しにされるのはごめんこうむりたい。

101社目とか、誰も採用したくないだろう。

出来ればしたくない。大事なことなので二回いいました。

だが、クリスはそう思ってはないようで。

「そういえば多田克典さんはお仕事どうされるんです? 」

昼食を食べてる時に、そうぶっ込んできやがった。

多田はついにきたかと、箸を卓袱台に置き、額を前に手を組みあわせた。

「やるきはない。絶対ない。もう社畜は勘弁だ」

「でも、私が来たんですから! ! もっといい仕事つけますよ! ! なんせ私天使ですから! ! ふんす」

天使は運気上昇するって言われてるんですよ〜と胸を張るクリスに、多田はくるりと反対を向いた。

「やっぱり死のう」

窓を開けたところでクリスがまたしがみつく。

もうこれは二人のお決まりになっていた。

「だってお前宝くじも当てられないし、今んとこ料理が美味いしかねぇじゃねーか! ! 」

そう、多田はスマホから宝くじを買っていたが、悉く外れたのだ。

「料理は私のテリトリーですからね! ! 」

「それ以外はからきしとか聞いてねぇよ! ! もうチェンジだチェンジ! ! 違う天使を呼べよ! !」


そう問答の末言い放つと、クリスはぴたりと動きを止めた。

やばい、流石に言いすぎたらしい。

多田が冷や汗をかきながら顔を覗きこむと、クリスはバツが悪そうに顔を反らし。


「もしかしたら、仲間がくるかもしれません」


そう、ポツリと呟いた。

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