第6話 信じる



――それでも、俺は彼女を信じたいと思った。



騙されたかどうかは騙されたかどうかで決まらない。

自分が騙されたと思うようにしようと決めた時にはじめて騙されたことになる。

たとえそれが本当に騙しだったとしても、騙しじゃないんだって信じ続けることもできる。

俺は、君を信じたから――

もう騙されることも、裏切られることも、ない。


――ねえ、◯ちゃん。

◯ちゃんが呆れて俺を拒絶しようとするまで、俺は絶対に君から離れていったりなんかしないよ。

◯ちゃんの本当の姿を見るまで、俺は絶対に君から離れていかない。

もし、君が本当に俺を騙そうと嘘をついていたのなら――両親は生きてておばちゃんも健康だったら俺は喜ぶし、男だったら親友になってやる――そんな風に思ってるよ。

だから、◯ちゃんの本当の姿を俺に見せて、必要があるのならまた俺を頼ってください。

それまで、俺が馬鹿やって君の心を温め続けるから。


――でも、君は多分なんにも言ってくれない。

俺がこんなことを思ってることも、君には届かないんだって――わかってる。

でも、それでも、俺は絶対に君から離れていったりはしない。


いつか――そんな愚かで馬鹿な俺を見て、君が「ほんと馬鹿だね」って鼻で笑ってくれたらいいな、と。

俺は、そう思うのだった。

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