第6話 信じる
――それでも、俺は彼女を信じたいと思った。
騙されたかどうかは騙されたかどうかで決まらない。
自分が騙されたと思うようにしようと決めた時にはじめて騙されたことになる。
たとえそれが本当に騙しだったとしても、騙しじゃないんだって信じ続けることもできる。
俺は、君を信じたから――
もう騙されることも、裏切られることも、ない。
――ねえ、◯ちゃん。
◯ちゃんが呆れて俺を拒絶しようとするまで、俺は絶対に君から離れていったりなんかしないよ。
◯ちゃんの本当の姿を見るまで、俺は絶対に君から離れていかない。
もし、君が本当に俺を騙そうと嘘をついていたのなら――両親は生きてておばちゃんも健康だったら俺は喜ぶし、男だったら親友になってやる――そんな風に思ってるよ。
だから、◯ちゃんの本当の姿を俺に見せて、必要があるのならまた俺を頼ってください。
それまで、俺が馬鹿やって君の心を温め続けるから。
――でも、君は多分なんにも言ってくれない。
俺がこんなことを思ってることも、君には届かないんだって――わかってる。
でも、それでも、俺は絶対に君から離れていったりはしない。
いつか――そんな愚かで馬鹿な俺を見て、君が「ほんと馬鹿だね」って鼻で笑ってくれたらいいな、と。
俺は、そう思うのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます