俺のことが大好きな友人♀とキスしたら、女友達と気まずくなった。もしかして俺のこと好き?

夕日ゆうや

黒髭危機一髪

 俺たち七人は黒髭危機一発をやっていた。

 勝った者が誰かを指定し、罰ゲームをかすという独自のデスゲームを始める。

「行くぜ」

「マジか」

「うける」

 ここにいるみんなは高校での友だちであり、普段から仲良くしている。

 俺が勝ったら、みさき莉子りこに告白するんだ。

(おい。太郎たろう。莉子に告白するんだろ? オレら邪魔じゃね?)

 春太はるたが耳打ちしてくる。

(いやいい。俺はここでくじけていたら、一生後悔する)

(そうか。頑張れよ)

 春太は俺の背中を軽く叩く。

「え。なに話していたの?」

 莉子は不思議そうな顔を浮かべる。

「オレらは深い友情で結ばれているからな」

「腐腐腐、私の目にくるいはなかった」

 委員長が何か言っているが、腐っているので無視だ。

「さて。次はわたしの番ね」

 莉子が意気揚々と剣を振りかざす。

 そして樽にある隙間に差し込む。

 ポンっと飛ぶ黒髭。

「やった! わたし勝った!!」

「「「おめでとう!!」」」

 みんなで祝福するが、俺は心のどこかで不満を抱えていた。

「罰ゲームは?」

「じゃあ、太郎くんと音子ねねちゃんがキスすること!!」

 なるほど。そうきたか。

「って!? ええ!?」

 俺はひっくり返るほど驚く。

 莉子はそれでいいのか!?

 俺と音子がキスしてもいいってこと?

 フラれた。

 なら、俺は猛アピールしている音子とキスした方がいいのか?

 混乱する頭で罰ゲームをしようとする俺。

 周りの男連中は可哀想なものを見る目を向けてくる。

 俺はそのまま音子とキスした……。


※※※


 やだ。なに。この感覚は。

 わたし、なんでこんなにもやもやするのだろう。

 音子ちゃんは前から太郎くんのこと好きだったもの。

 これでいいんだ。

 これで……。


 危機一髪を回避できなかったわたしはどうすればいいのだろう?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺のことが大好きな友人♀とキスしたら、女友達と気まずくなった。もしかして俺のこと好き? 夕日ゆうや @PT03wing

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ