第5話:聖剣

「そろそろ、あの話をしてもいいじゃないかのぉ?」


「おう、ちょうどその事について考えていたところだ」


「ううむ、些か危険ではあるがのぉ」


「それぐらいでなければも本領を出さないだろうよ」


「うむ、伝承通りならなぁ」


〜一夜開け、翌日の朝、エンランド邸(仮)にて〜

「重要な要件と仰っておりましたが、なんでしょうか?」


「おう!これは最重要にて最機密だ!心して聞けよ?」


「は、はい!」


「ではまず、この詩を見たことあるか?」


「えぇと、これって…12英雄詩、ですよね?」


「おう!12英雄詩は12人の英雄による魔王討伐の物語、有名だな!」


12英雄詩、12人の英雄たちが大陸の外にいる魔王を倒す物語。

”太陽の騎士” ガウェイン

”泉の騎士” ランスロット

”愛の騎士” トリスタン

”憤怒の騎士” モルドレッド

”七面の騎士” アグラヴェイン

”敬愛の騎士” ガレス

”弓の騎士” ガヘリス

”友愛の騎士” ケイ

”可能性の騎士” ガラハッド

”聖槍の騎士” パーシバル

”神槍の騎士” ラモラック

”始まりの王” ペリノア

そして彼らが手にしたとされる聖剣”エクスカリバー”。物語は実に不気味だ。物語が進みにつれて騎士たちは一人一人死んでゆく、残された仲間に希望を託して。そして彼らが死ぬ時必ず手に持っているのが聖剣”エクスカリバー”だった。そのことからエクスカリバーは聖剣ではなく邪剣じゃけんあるいは厄剣やくけんとも呼ばれてる。

「僕に死ねと仰ってるんですか?」


「そんなわけなかろうが!いやまぁ確かにエクスカリバーは呪いの類だと噂だが…だが俺が言いたいのはそういうことではない!エクスカリバーは所持者に必ず勝利を齎すとされている!」


「まぁ物語上ではそうですけど。第一、本当に実在しているのか分からない代物なんですよね?今からこの大陸の全土を調べていたら帝国に負けますよ」


「ふっふっふ!聞いて驚くなよ?実はだなぁ、アレキサンダーがもうすでに見つけているのだ!」


「いつの間に…というよりも実在していたのですね」


「というわけで貴殿には最小人数でそこに向かってもらう。チームはこちらで選抜させてもらった」


「すごい急…」


「まずはベディ、君は護衛として必須だ。次にクレートス、貴殿の護衛その2だ。あとは護衛が二人と案内役のプトレマイオスだ。計6人で行ってもらう。明日の早朝に東の門から出てもらう、異論はないな?」


「異論はありません」


そして迎えた翌朝、待ち合わせ場所の東門に向かった。そこには馬車とローブに包まれた4人の姿があった。とくに槍を持ってるのは十中八九クレートスだろうな。

「お、おーい!こっちダァ!」


「しー!これ隠密行動だよね!?なんですぐ声上げるのさー!」


「あ、やべ」


知らない顔がいた。背が低く丸いメガネの少年だった。察するに彼がプトレマイオスだろう。

「こんにちは、みなさん。この度はよろしくお願いします」


「毎回そんなに固くならなくてもいいってヨォ!俺たちゃあんたの部下なんだからヨォ!それとこいつが今回の案内役のプトレマイオスダァ。ん?隠れてねぇで挨拶ぐらいしロォ」


クレートスの後ろに隠れてる

「こ、こんにちは…」


「ったくヨォ…すまねぇな、こいつ昔っから極度の人見知りでヨォ。んじゃ行くか!」


馬車に乗り一般人の馬車に紛れ城塞都市ラースを出立する。まだ太陽が地平線からでってまもない時に。

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