第3話:破帝同盟、再結成

「貴殿には我が軍の先頭に立ってもらう!なぁに、ただの威嚇さ!10分ほど敵軍の侵攻をとどめておいて欲しい、演説でも何でもいいが10分間は絶対だ」


〜城塞都市ラースは森に囲まれていた。城塞王ラムセス・オジマンディアウス2世は城塞都市内の兵の指揮をアーサー・エンランドに託した。帝国およそ1万に対しラーズ軍およそ2000、圧倒的不利である〜


「我が名はスキフィオ・竜殺ドラゴンスレイヤー・アフリカヌスだ、13帝国騎士が一人である!城塞都市ラースに匿われてると思われる謀反人ラムセス・オジマンディアウス2世及び大罪人アーサー・エンランドを処刑しに参った!ただちに城門から離れたまえ、若造!」


「何を言う、僕…私こそがアーサー・エンランドである!」


「むぅ!貴様が大罪人アーサー・エンランドかッ!血迷ったか、大罪人!」


「私はただ話をしに来ただけだ。こちらの無実を証明する時間ぐらいはあるだろう?」


「無実なわけがあろうか!貴様は逆賊アルフィール・エンランドの息子ということがすでに割れている!」


うん、これ絶対10分持たないね。相手の大将、思った以上に話の通じない頭の硬いじじぃだ。


「もし大罪人アーサー・エンランドを差し出せば兵と城塞都市の住民の命はスキフィオの名の下に保障しよう。」


ざわめく兵士たち、それも仕方ない。ここにいる者のほとんどは戦争を経験したことない若造だ。僕でもこんな誘いを受けたら心が揺らぐ、それを知っててラムセス王は僕を先頭に立たせた。ってことは僕のカリスマ性を試しているのだろう、近い将来彼らを率いるために。


「耳を貸すな!帝国の行いを振り返れ!そしてスキフィオ!僕は話をしに来たんだ!」


「知るか!全軍前進ッ!」


まずい。なるべく戦わない方法で10分耐えろと言われたのに。ここは仕方ない。


「総員撤退、絶対死守だ!」


あぁ、これはだめだ。僕は人を導く器じゃない…


「待たせたな、アーサー殿ぉ!」


「あれは…」


そこに居たのは赤い鎧をまとった大勢の兵を率いるラムセス王だった。噂に聞いたことがある、竜をも瞬殺する血に飢えた同盟軍最強の軍勢の話を。彼らのリーダーは2メートルを超える身長と神の血を飲んだとされる万能の大男、アレクサンダー・キングスマン。そして彼の率いる軍勢、ヘタイロイ。

「むむむぅ!ラムセス貴様ぁ!」


「おうおう!かの13帝国騎士様も鳥肌が立つだろう!彼らはお前らにとっては死の軍勢!かつて帝国を絶望の淵に叩き込んだ竜殺軍勢ヘタイロイだ!」


「ぐぬぬぬぬ…!そんな軍勢、どこに隠していやがった!」


「消えろ、そして伝えろ。『時は満ちた。今こそ破帝はてい同盟の再結成といこう』とな。今なら血も流さずに帰してやる」


城門前からスキフィオの軍が引いていった。

「おう!よく耐え凌いだ!」


「いえ、僕じゃ10分も敵とおしゃべりなんてできませんでした」


「まぁ結果が良ければ全てよかろう!それと合わせたい人がいる!」


「フゥン、これがアルフィール王の息子か」


で、デカい!噂通りのデカさだ!

「ううむ、大きくなられた!最後に会ったのは赤子の時だったからな。」


意外と優しい…?

「おう!これで役者は揃った!これから俺ら3人で破帝同盟の再結成と行こう!」


「ううむ!アルフィール王の仇を!」


「ええ!」


〜後に『三大英雄詩』にて後世に語り継がれてゆく〜

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る