第2話:城塞都市ラース、入城
城塞都市ラースの城門を括ったのがちょうど次の日の昼前だった。城内は人で賑やかだった。僕も何回かは父上、いや前村長と観光に来たことがある。
「華やかな町だろう!」
「えぇとても。僕が暮らしてた村とは全然違います。何もかもが眩い」
村人達は別の場所に案内され僕たちはひたすらに真っ直ぐ大通りを走った。街の大通りを30分ほど行きたどり着いたのは上級層の門だった。どうやら城への道筋は硬く守られてるらしい。この上級層に住んでるのは議員やなんやらと言っていたがよく分からない。
「着いたぞ、ここが貴殿やらが住まう屋敷だ!少し小さまめだが許してくれ!」
「ええと、ここに住まうのは僕だけですか?」
「む?メイドもいるぞ?」
「いえそうではなく。ベディも一緒に住んでもよろしいでしょうか?今となっては彼だけが親代わりで唯一頼れる者なのです」
「そういう事か!俺としたことがうっかりしていた!案ずるな!もちろんいいぞ、部屋は充分にあるはずだ!」
「ありがとうございます、ラムセス王!」
待機していたメイドが荷物を運び込み僕たちも中に入ることにした。ドアを開けると広く間がありその先に2階へと続く階段があった。一人のメイドに2階へ案内された。ドア歯全部で五つありそのうち三つは寝室で二つは倉庫と図書室らしい。
日が暮れ、ラムセス王の訪問があった。
「おう!邪魔するぞ!」
「といってもお邪魔させてもらってるのは僕の方ですけどね…」
「がははははは!それもそうか!」
晩御飯を一緒に食べることになった。城塞都市が故に、もちろん豪華であり見たことないような食べ物ばかりだった。
「ではこれからの話だが、いいかアーサー殿?」
「ええ、もちろんです」
「これからここで暮らすにあたって幾つかの注意事項がある。まず一つ目、貴殿はこれからアルフと名乗れ。ここには帝国側の人間が多いからな。二つ目はあまり外出するな。先刻と同じ理由だ。だがこのエリア内ならいくらでも出ていいぞ、図書館や観光スポットに行ってみるのもいいかもだ。」
「わかりました」
「あとはそこの…名を何と申したか?」
「ベディヴィエールです」
「ベディビエール、君にも同じく先刻注意事項は適用される。名のはベイルと名乗れ」
「わ、わかりました」(ラムセス王、いつもと雰囲気が違う。いわゆる仕事モードか?)
「では私は先に失礼する。済ませないといけない仕事があるのでな」
嵐のような人だった。明日は少し歩いてみるのもいいかもしれないな。一夜開け朝食をすませた後、裏庭でベディに剣の稽古をつけてもらった。
「あまり無理をなさらないように」
「わかっているさ。だが少し無理をするぐらいでないと剣は技は上達せん」
「いえ、そうではなく。アーサー様、無理をしているでしょう?村を出たあの日から」
「痛いとこをつくなぁ。周りから見て明らかか?」
「いえ、長く付き添った私だからこそでしょう。」
「そうか…」
今夜もラムセス王がお見えになった。今日はまた違う用で来たらしい。
「帝国側に動きがあった」
「!それはどういう?」
「向こうに潜り込ませてるスパイによれば、2日前に大軍を率いて帝国首都を出たと。進路は間違いなくここラースだと。明日の昼前には到着するだろう」
「そうですか。見たところラースにはその大軍に太刀打ち出来るほどの兵は居ない。まずいですね」
「まぁ案ずるな!こちらにも策はある!貴殿にも働いてもらうがな!」
「へへへ…」(嫌な予感しかしない…)
「まぁまぁそんなに案ずるな!俺も歳をとったが老ぼれてはない、必ずや勝利を勝ち取って見せよう!」
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