第4話  鍛冶屋の爆発

 俺が、ムネヒラをアガサに預けて数日がたった頃、彼は転がるように俺のところへやって来た。


「すごいよ。ムネヒラは!!炎華石えんかせきを使って鍛えられているよ。東方の魔法使いが作る剣と同じような作り方だと思うよ!!」


 アガサは興奮していた。


「だったら、何なのさ?」


「君は、この刀に選ばれたあるじだよ。この刀に細工をすれば、魔剣に出来るんだ!! 君は、魔剣士になれるよ」


 俺は、魔剣士にも魔剣にも興味がなかったが、強くなれるのならそれで良いと思った。


 アガサは、ムネヒラを預かって、火の精霊を喚び出して、刀身に閉じ込めようとした。

 アガサには、精霊を喚び出す能力があったのだ。その能力で、さまざまな剣を作っていた。


 東方の神殿の者に見いだされていれば、彼の人生もきっと変わっただろう。が、彼の能力に最初に気付いたのは、『緋の杜』の黒の魔術師だった。

 彼らは、アガサの光の力を闇に貶めて、利用した。


 アガサは、何も知らずに彼らに協力していたにすぎない。


 俺は、ムネヒラをアガサに預けて、さらに10日ほどたったある日に呼び出された。


 アガサの鍛冶小屋は、郊外の山の中にあった。


「ムネヒラに、火の魔法の付加価値をつけてみようと思ったんだけどね」


 と言われて。


「でもムネヒラは、の者に過敏に反応するね」


「昔の勇者の刀だからだろ?」


「思ったよりもだよ。オレの火の精霊を使って鍛え治そうしたけど、しまったよ。闇堕ちしているとはいえ、オレの精霊だってそれなりの地位なんだよ」


「手を加えられるのを嫌がったんじゃないのか?」


鞘にも飾り一つない、銘だけ伝えられている刀だ。下手な飾りなどいらないのだろう。


「あり得るね、だから君に火の精霊と契約させるよ。君の言うことなら聞くかもしれないから」


 これは、ムネヒラにを加工しようとしたが、失敗したので、俺に方に火の精霊と契約させて、おれを魔導師にしてしまうことだった。


『火の貴婦人、オーガスタ。今日からレスター・ウィレムと契約してね』


<私はアガサのそばが良いわ~>


『オレのそばには、まだ二匹の精霊がいるよ。安心してレスターを助けておあげ』


<優しいんだから~>


 半透明の貴婦人の姿の精霊が、レスターの頭上にやってきた。


 そして、アガサからムネヒラはを受け取った。


 俺は、訓練もあったのでムネヒラを受け取って、急いで鍛冶小屋を出ることにしたんだ。

山から降りたところで、鍛冶小屋は謎の爆発を起こした。

 数刻遅ければ、間違えなく巻き込まれていただろう。

 急ぎ、鍛冶小屋に戻ったが、鍛冶小屋は木っ端微塵であった。


 誰の仕業なのか?

 またもや、俺は生き残ってしまった。



 (完)

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