第2話 レスター危機一髪
俺は、突然の火事で両親と妹を失った。そんな俺に声をかけてきたのは、父親が商売相手として、上客だった黒い装束の男だった。
「敵を討ちたくはないか?」
そう言って、俺に近付いてきた。
骨董屋を営んでいた俺の家の火事は、上級の火の魔法使いの仕業だと神殿は見ている。
それこそ怪しいのではないかと思ったが、15歳だった俺には、行くあてもなかったのだ。
そうして、生まれ育ったアルデバラン王国から隣国の古王国ヴァ-レン皇国に移り、黒の魔術師集団の秘密結社『緋の杜』にやってきた。
俺は、知らなかったがヴァ-レン皇国には、東方の銀の森を中心とした魔法使いたちとは違う系統の黒の魔術師というものが存在した。
黒の魔術師たちは、闇の魔の者と契約して力を得ていた。
その力で、妖刀のムネヒラとその
「お前を魔剣士にしよう」
俺を『緋の杜』に連れてきた男が言った。
「魔剣士~?」
聞いたこともない職業だ。
「俺は、ただの商人のせがれだぜ?」
俺が言うと、赤毛の男は笑いながら、
「うぬが、知らぬだけよ」
と言う。
俺は、その先が聞きたかったが、赤毛の男は行ってしまった。
その代わり、次の日から大人に混じって剣の稽古をさせられた。
初めから真剣のムネヒラを使わさせられた。
明らかに、異国風の作りの長刀であるムネヒラは、不思議なことに俺を傷付けることはなかった。
ある日、『緋の杜』に訪問者がきた。
大人たちは、我先にと彼に剣を差し出している。
黒髪を刈り上げて、服のあちこちが焦げてボロボロの出で立ちだが、『緋の杜』の剣士たちには、重宝がられる鍛冶師だったのだ。
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