第4話 大成功だ!

 見てわかる通り、俺は身動きができないように、完全に拘束されている。

 拘束されて三日目。

 もう12月31日だ。

 新年まであと一日もない。

 俺はどうやってここから脱出できるか死ぬほど考えた。

 やはりルーシーを納得させるしか他ならない。

 そろそろルーシーが朝ご飯をもってくる時間である。

 同じ手は絶対に通用しない。

 そう思って、ひたすらルーシーを待った。

 やがて飯をもったルーシーがやってきた。

 ルーシーは俺の口に装着されていた猿ぐつわを外し、おかずを俺の口元に運ばせてきた。


「どぉ? おいしい?」

「はい。おいしいです」

「よかった♡」

「それに加えて、私はあなたのことが好きになってしまいました」

「えっ!?」

「毎日お世話されていて気づいたのです。あなたは私のガールフレンドだということを。こんなに献身的なガールフレンドいません。好きです。ルーシー。私と……してください」


 俺が昨日考えた作戦だ。

 愛情を持った、ということを吹き込み、……を要求する。

 ……をするにはあなたをしっかり抱きたい、そして拘束されているとそれができない。だから外してほしい、と。

 ついでに念押しも加えていこう!


「ただ……このような状態ではあなたを真剣に抱くことができません。ですので、この拘束を外してくれませんか? ……確かに私は一度、あなたから逃げました。しかし、あの時はあなたの愛情を知らなかったのです。今となってはあなたは私の思い人なのです。ですので信じてもらえないでしょうか? けっして、あなたから離れないと……」


 いや結構アドリブで言ったなぁ、俺!?

 英語ミスってないか心配だわ。


「雅史……♡」


 こいつ! 手も足も全部外してくれたぞ!?

 俺、やっと自由になれたよ。


「雅史スキスキスキスキスキスキスキスキスキスキ♡」

「私もです。ルーシー」


今だけだ。コイツを満足させて眠らせた後で、俺は国に電話するぞ!


……大成功だ!

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