第3話 おいおいおい捕まってるぞ
目が覚めた。
体を起こそうとした。
しかしびくともしない。
その違和感にぼけていた頭がばっちり冴え、
自分の状態を確認した。
『こ、拘束されてる……?』
何でだと思考を巡らせ約三秒。
結論が導き出された。
『あいつやないか~~~~ーい!』
冗談じゃねえ! マジでおばさんのおせち食べれねえぞ!?
はやく―、はやくここから出してくれー!
そんなことを思っていると、部屋のドアが開いた。
【調子はどう? 雅史?】
【最悪です。早くここから出してください】
【ダメですよぉ。だってぇ、紐ほどいたら逃げちゃうじゃなぁい】
ああそうか。
じゃあ逃げないって思わせればいいんだな。
【ほどいてくれなければ、あなたと……することができません】
それを聞いたルーシーはすぐに俺の拘束を解いてくれた。
ちょろい女の子だな。
【じゃあ、それ出して?】
【へっ?】
【だからね? 雅史の……を出してって言ってるの!? あれ?
……わからないのかな?】
いやわかるけど。
俺こう見えて英語は昔から勉強してきてるからな。
その単語くらい出てくるわ。
【まあいいよぉ。行動でわかるよね♡】
そう言ってルーシーは俺のズボンに手をかけた。
【ま、待ってください。心の準備が……!】
大体ここで主人公はヒロインに【待たない♡】とか言われて押し切られてしまうパターンだろうが、現実はそうはいかない。
俺はルーシーの手をつかんでズボンから離した。
【まずはベッドに行きましょう】
俺はそういってルーシーをそこへ誘導するセリフを吐くと、オリンピックの短距離走の選手のように瞬発的に部屋の外へとスタートを切った。
ルーシーはそんな俺を捕まえようと必死に追いかけてくる。
もう家の外だ。
あの曲がり角で曲がって、その先も視界から俺が見えなくなるようにジグザグに進もう。
そう思った直後。
……行き止まりでした。
【あ~もぉう! ダメなんだよぉ? 私から離れちゃぁ。 幼稚園の時は『スキ』って言ってくれたのにぃ】
絶望が頭をよぎった。
ルーシーは俺の口にハンカチをつけた
俺は催眠薬を嗅がされたのだろう。
急に視界がぐにゃりと曲がり、深い眠りに落ちていった。
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