第25話 愛は無限の力を持つ

待て待て待て!

落ち着けよ俺!


良ーく考えよう。

シャルルちゃんは確かに可愛いよ?

顔は言わずもがなの美人さんでサラッサラの金髪に大海原を思わせるマリンブルーの瞳。体つきは成人したて(この世界では16歳)とは思えないバランスの取れた躯体でお胸様は何と脅威のEカップ!(ばーむちゃん調べ)。そして身長は160cmの俺より7cm高い167cmでキスするときちょっと背伸びする感じが…って乙女か俺は!


それに外ではしっかり者を演じてはいるが生活能力能力が皆無なのでしっかりとサポートしないと服もまともに着れないポンコツでかなりスキが多い。


まぁ良く言えば『天真爛漫』悪く言えば『あざとい』と言う事だ。


それで何が言いたいかと言うと‥‥かなりの激重ちゃんでもそのデメリットを帳消しにしちゃうほど可愛いのでもっと深い関係になっても良いとさえ思える。


しかし…しかしだ!

ここで情に絆されて手を出した場合‥‥リアルに『2人の愛で困難を乗り越えて幸せになろうね!』ルートに突入する。


だが…

ここで見捨てれば‥‥俺のEカップちゃん(超失礼な物言い)が下卑た男に弄ばれる!

それは許せない。これは俺のEカップちゃんだぞ!


しかし‥‥しかし!


とまぁこんな感じで葛藤している訳ですよ。


あ、思考時間に関してはばーむちゃんの演算領域を間借りしてるので一種の『高速思考』状態なので現実時間では2~3秒ほどしかかかってない。


まぁその代わり通常の3倍カロリー消費するので多用は出来ないし余計な事をいうとばーむちゃんがへそ曲げてカーナビレベルまで性能がダウンするので使いどころを見極めないといけないのだ!


自律思考型人工知能からカーナビって‥‥落差が酷い。


俺が黙って葛藤しているのを感じ取ったのか目の前にいるシャルルちゃんが更に目を潤ませて俺の右手を自身の両手で包みこみ――


「このスキルが何であれ私は『貴方様と生涯を共にすると』女神様に誓いました。もしその誓いが果たされないのなら‥‥私は…潔くこの世を去ります!」

「‥‥すまない‥‥ちょっと待ってもらっていい?」

「は、はい‥‥」


とんでもないセリフを吐いてくれました。

あとシレっと婚姻を結ばないで下さい。どう頑張っても友達以上恋人未満なので。


タイムを入れた俺は早速自律思考型人工知能【バームちゃん】を頼る事にした。


(エマージェンシー!エマージェンシー!)

『‥‥‥ようこそ『2人の愛で困難を乗り越えて幸せになろうね!』ルートへ』

(‥‥‥)

『これも運命だよ?』

(こんな運命‥‥ぶち壊してやる!!!)

『無理に1票。そして過半数を超えたのでマスターの足掻きを棄却します』

(はぁ!?なんで過半数って‥‥あ!総数が2票って事!?‥‥こ、小賢しいぞ!)

『小賢しいのはマスターでしょ~?本当はマスターが決断してから話すつもりだったんだけど‥‥無駄な足掻きなのでもうトドメ刺しちゃいますね?』

(え?なに?俺って味方から刺されるの?こんなに葛藤してるのに?)

『大半は『煩悩』だったので正当な判断です。それに』

(それに?)

『今なら純真無垢で天使のEカップちゃんが付いてくるんだよ?いいの?他の男に貪られても?』

(そ、それは‥‥!ぬぅぅ!これが孔明の罠か!)

『‥‥ハイ。話を戻しまーす。今から話すのは真面目に聞いて下さい。聞かないと今後私は『カーナビ』に転職しますから』


‥‥脅しがえげつなくない?

さっきも思ったけど自律思考型人工知能からカーナビって‥‥案内しか出来ないじゃん!


ってあれ?

バームちゃんって元々は俺の案内役を務める為にバームクーヘン女神様の分体をスキル化して誕生した【AIナビ】だった気が‥‥一周回ってふりだしに戻っただじゃね?


まぁそんな事を言えばマジでカーナビに転職されちゃうので黙っておこう。


『なにやら小賢しい事を考えている気配がしますが‥‥まぁいいでしょう』


あっぶねぇ!まさか思考まで読み取られるとは思ってなかったぞ!‥‥今度からは深層心理で考えよう。出来るかは別として。


『では説明します。虹生産ましーんちゃん――シャルルちゃんに生えた【愛】ですがその効果は


――スキル保有者が『愛』する対象との愛の深度に応じてスキル保有者の『存在の位階』が上がる。上限なし――


ですよ?ヤバくないっすかコレ?』


言葉を失うとはこうい事を言うのだろう。









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