第24話 イエローカードは2枚で退場だぞ?
愛とは何か?
個人的には『愛』とは慈しみ相手を愛おしく思う事で人や物を大切にする気持ちの中にこそ『愛』が存在していると思っている。
しかし『愛』とは時に非合理的な行動を起こす。
愛おしからこそ相手の全て欲しい。奪いたい。自分だけの物にしたい。言葉にすれば許されざる行いにも思えるがその根底にあるのまた『愛』だ。
相反する性質を持つ『愛』とはとても深いものであると俺は思う。
さて。なぜ俺がこんな哲学的な事を考えているかと言うと‥‥全てはシャルルちゃんが得た新しいスキル【愛】に端を発する。
☆★☆★
「新しく取得したスキルは…【愛】です」
「アイってあの?愛するとか愛情とかの愛?」
「えーっと‥‥多分そうです」
「そうか‥‥」
つまり『愛‥‥覚えていますか?』だな?
『覚えてません。そして現実逃避はやめて現実と向き合って下さいマジで緊急事態ですから!』
辛辣ゥゥゥ!
うちのカロリー消費型超高性能演算システム搭載ボトムアップ癒し系AIが辛辣ぅぅ!
てかなんて長い名前だ!
いつからこんな長くなったのよっ!?
って俺が勝手に名付けたんだっけ~テヘへ★
『ピピーィ!ハイ。イエローカード警告です。次現実逃避するなら本体に申請を出して局部巨大化させてマジで『俺のマグナム』から火ひきださせてやりますよ?いーですね?』
(‥‥善処します‥‥)
『善処ぉ?聞き間違えですかねぇ?』
(噛んだだけです!全力で事に当たります!)
『よろしい、では早速取り掛かるように!』
(Sir!yes!sir!)
そして!スキル如きに媚び諂い過ぎじゃね?とか思ってる奴!
いいか?
ばーむちゃんは冗談とか遠慮とか存在しないからマジでヤるんだよ。
そしてその結果‥‥俺の股間にぶら下がっている『ぞうさん』が巨大化して火炎放射するピエロもびっくりな異性体に進化しちゃうんだよ!
と言う訳で俺は宣言どおり全力でシャルルちゃんと相対する覚悟を決めて彼女の美しいマリンブルーの瞳をジッと見つめた。
「それで‥‥どういった効果があるのか‥‥教えられる範囲で教えて欲しい…です」
「命の恩人であるユーハイム様に隠し立てする気はないのですが…本当に正しいか確証がないと言いますか‥‥」
「確証?」
「はい。効果は理解出来ているのですが‥‥発動しているのかさえ不明で…上手く説明できる自身がありません」
「‥‥ふむ。そういう系か‥‥」
丁度良い機会なのでこの世界の【スキル】について少し触れておこう。
まず皆が【スキル】と呼ぶ個人所有の特殊能力だがその多くは子供の頃にはだいたい発現している。
そして子供達は遊びや生活を通じて自身に芽生えた【スキル】が何なのかを理解してゆく。
例えばスキルが【剣士】とかなら文字通り剣を装備して戦う事に特化したスキルでありスキルが【神託】なら神の声を聞き民を導く力がある。と言う具合に一部該当しない場合もあるが大抵は使って居るウチに理解する…つまり『使えば判る!』という事だ。
次に大きな括りとして少し前にも触れたが【スキル】にも
俺を例にすれば【巨大化】は
余談だが誰からもイケメンに見える!が売りの【イケメン】スキルだが…あれ実はパッシブスキルじゃなくてアクティブスキルらしい。
つまりレモンちゃんのお仲間であるパーク‥‥じゃなくてマーク君は己の意志でONとOFFを切り替えられるらしい‥‥
なので今度是非聞いてみたい。
『レモンちゃんやライムちゃんの前ではONですか?OFFですか?と!』
とまぁ脱線したが自分でON、OFF出来るのがアクティブで出来ないのがパッシブって事だ。
さて、上記を踏まえて今一度シャルルちゃんに生えたスキルについて考えてみよう。
本人にも発動しているか不明という事は恐らくアクティブスキルの類だろう。
そしてスキル名から判断するに『愛』に関わる何かだろう‥‥暫く放置でも安全だな!と言う訳で
(っふ!QADだ)
『ピピーィ!イエロー2枚目でーす。退場してくださーい』
(え?退場!?なになに!?てかさっきから妙にあっせてるのはなんなのよ?ばーむちゃん様)
『‥‥はぁ‥‥いいですか?今さっき本体から緊急の連絡がありました。その内容は目の前にいる虹生産ましーんちゃんが新たに取得したスキルについてです』
お?なんか今日はヤケに真面目モードだな?
基本的には『おっとり系に若干のちゃらさが混じったJD』って感じなのに今はバリバリの『キャリアウーマン』って感じのじゃべり方だ。
(それで?まさか『愛は世界を救う』とか与太話レベルの効果って訳じゃないんでよ?)
まぁ時にそれと同じ規模の現象を起こす事もあるのは知っているが…個人の愛でどうこう出来るのは本当に奇跡に近い。まさに神の御業だろう。
『‥‥マジなんですよ』
(は?‥‥まじ?ネタとか冗談とかじゃなくて?)
『はい。正確に言うと違いますが‥‥まぁ同義と捉えても問題ないですねぇ~』
(‥‥)
さて。この話を聞いて俺は強烈にイヤな予感に襲われた。
そして正直彼女を残して今直ぐにでも逃亡したいと強く思うが‥‥
「あの?もしかして‥‥なにか不都合でも‥‥?」
不安げに揺れるマリンブルーの瞳が『行かないで』と訴えかけているかの様に思えて人生でトップ3にも入るかもしれない程の葛藤に苛まれていた。
多分今ならまだギリギリ戻れるラインにいるのだと思う。
そしてそのラインを踏み越えたら‥‥どうなっちゃうのかなぼく?
日夜暗殺者の影に警戒しつつ本人の居る前でストーカー行為に走り重たい
まぁなくはない…かな。
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