2章
第22話 【神託】
(さて、ばーむちゃんよ)
『はいはーい』
(シャルルちゃん対策も必要だが…そろそろ資金作りしないと首が回らなくなるので冒険者になろうと思うんだが‥‥)
『だが?』
(シャルルちゃんどうするよ?)
保護当時から考えていた事ではあるが真面目な話、手っ取り早く資金を稼ぐには冒険者になって依頼をこなす事だ。
だが今の俺にはシャルルちゃんという保護対象が居るので暗殺のリスクを考えると極力別行動は避ける必要がある。
そうなるとシャルルちゃんも冒険者になる必要があるんだが‥‥
『名前がシャルルで保有スキルが【神託】‥‥身バレ率100%ですねぇ~』
(ですよねぇぇ~~~)
確実に身バレする。
ってこれじゃぁ親に内緒でバイトするJKみたいな状況じゃん。ラブコメか!
とまぁ冗談はさておき。真面目に考えると欺瞞情報を記載するしかないのだが‥‥
『登録詐称は重罪でからねぇ~』
登録を詐称する方法は取れないしそもそも論として俺が保護してからも彼女は『シャルル』の名を使っているので名前も誤魔化せない。
つまり詰みだ。
しかし当の本人であるシャルルちゃんにこんな話をしても余計な心配を増やすだけなのである程度方向性が決まるまでは黙っておくつもりだ。
(とは言ったものの…俺だけ冒険者登録してもな~‥‥っとそうだ!ばーむちゃんよ?)
『はいな?』
(シャルルちゃんの【神託】って確か神の言葉を聞き民を導くって話だけど…こっちから問いかけできるの?)
困った時の神頼みだ。
『ん~対話する場合は‥‥【巫女】とか【聖女】のスキルで可能ですねぇ~』
(あーじゃぁやっぱ【神託】って【聖女】とかの完全下位互換って認識で間違いないのかぁ~)
『まぁ『汎用性』って言う点では下位互換になりますけど…そもそも【神託】は聞くに特化したスキルなので精度がダンチなんですよ!!』
(へぇ~特化型かぁ~…で?具体的には?俺の巨大化みたいに実は微妙だったとかしない?)
『【巫女】とか【聖女】には言いたい事の3割も伝わらないし伝達量も精々50文字程度だけどぉ~【神託】は聞く特化なので言いたい事はほぼ全部伝わるし伝達量はなんと無制限!』
(なんかスマホのギガプランみたいだねソレ)
『That‘s right !つまり【巫女】とか【聖女】は『3ギガ+SNS使い放題プラン』で【神託】はギガ無制限って感じ』
俺が言い出した例えだけど‥‥身近な事情に置き換えられると神々しさとかありがたみが一瞬で無に帰すな
(そうか‥‥もし聞けるなら良い案を出してもらおうと思ったのに‥‥あ、ところでさぁ)
『ん~?』
(ここで言う【神】って沢山いるの?)
『いやぁ?1柱だよ?』
(へぇ~結構少ないんだな。中には八百万の神々って概念もあるから沢山いると思ってたけど。で?それって主神ゼウスとか?)
『違うよ?』
(誰?)
『私の本体』
(‥‥ぱ、ぱーどぅん?)
『だから家出少女ちゃんとか聖女ちゃんに話しかける神はマスターの言う【バームクーヘン女神様】だよぉ~』
マジかよ‥‥今度クレーム入れようと思ってた相手だとは思ってなかったよ!
「てか‥‥世の中って案外狭いんだね」
「?」
何とも言えない気持ちになるのは俺だけかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます