第20話 虹の先には…
カロリー消費型~以下略の暴走によってなし崩し的に家出少女を匿う事になった俺ことユーハイム(15歳)は困った事になっていた。
それは――
「ん…はむ…さまぁ…お慕い…」
家出少女がいつの間にか下着姿で俺の横で寝ていたからだ。
『DT卒業ですかぁ~?おめでとうございます。マスター。今夜はお赤飯ですね』
(‥‥んな訳ねーから。ばーむちゃんも知ってるでしょ?シャルルちゃんが横のベッドで寝落ちしたたの)
『ええ。確認済みですよぉ~正確には寝落ちした虹製造マシーンちゃんをベッドに戻した後にマスターが寝たんですよね?そしてマスターが寝ている間に後に起きた虹生産ましーんちゃんが自ら服を引きちぎって半裸でマスターのベッドに潜り込んでました!』
でしょーね。まぁ元が30代とは言え、今の俺は15歳のピッチピチの若者だ。当然性欲も旺盛なお年頃なので据え膳は頂く主義なのだが‥‥
(いくら美少女でも訳アリの子を抱くほど腐ってはないぞ?)
『ふーん。紳士なのは美点でもありますが‥‥まぁマスターがイイなら文句はないっす』
(ホント。なんで出会った美女や美少女は全員アブナイ雰囲気しかないんだよ‥‥もっと王道ストーリーにして下さい。例えば盗賊に襲われてる子を助けたんだが実はいいところのお嬢様で、親交を深めるうちになんやかんやあって婚約者になってその子の親が経営する領地を知識チートで内政無双するとか)
『あー内政チートはともかく横で寝てる半裸女も名家のお嬢様ですよぉ~?そして好感度は昨日で爆上がりしてるんでパクっと行けますよ?』
(あ~確かに肩書だけ見ればそうだけど‥‥地雷臭が凄いんだが?)
『そこは‥‥ドンマイっす』
またく面倒な事になったもんだぜぇ‥‥とため息をついているとシャルルちゃんが目を覚ました。
「おはようございます…だ、旦那様(ぽっ)」
「‥‥人違いです」
(エマージェンシー!エマージェンシー!エマージェンシー!)
『えーっと‥‥焚き付けた私が言うのもアレだけど‥‥ごめんね~マスター』
(ごめんで済むレベルをとうに超越してるよ!知人、友人、親友、彼女、嫁のスケールで考えればたった一晩で知人から3ステップも飛ばしてるんだぞ!?ヤバくね!?)
『マジでヤバいね‥‥これ地雷系とかヤンデレ系確定じゃん。って事で超高性能AIは学習して朝食までは省エネモードに移行してますねぇ~じゃぁ!』
(あ、おい!主犯のくせに逃げんなよ!…おーい!もしもーし)
『‥‥返事がない。省エネモードの様だ』
(返事するならちゃんと…)
『‥‥返事がない。省エネモードの様だ』
なんて無駄なところで超高性能さを発揮するんだろうか?
これはマジで製造元にクレームを入れる必要はあるのかもしれない‥‥
「あの…旦那様?」
「あーっと…俺はシャルルさんの旦那様ではありませんよ?」
「うぅ~‥‥わかってますよ?でも今だけは‥‥気分だけでも‥‥」
「‥‥それはまた今度でお願いします」
「‥‥判りました」
あっぶねぇ~
好感度が上がった途端にちょとアブナイ片鱗が出始めたけど外見がマジで美少女だから騙されそうになる。
さっきもうるんだ瞳で見つめられるとついついOK出しそうになったし。
「それで…その‥‥なんで服を?」
「あの服は外出用なので締め付けがキツイのです。なので着たままではしっかり寝れなくて‥‥」
あー。確かに洗ってる時にも思ったけど服の一部がコルセットになってるからな~
脱げる環境なら脱いだ方が睡眠の質は上がるし‥‥当然の判断か。
それで脱ぐ前に寝落ちしちゃって、起きたらお手伝いできる俺も寝てるから仕方なく自分で破いたと。
「まぁ今度困った事があったら遠慮なく起こしてください、ここまで来て見捨てるつもりはありませんから」
「それは申し訳ないのですが…でも…はい。今後は頼らせて頂きますね」
「はい。では今日は着る物を調達にいきましょうか。一先ずは俺の服で申し訳ないですが…緊急時と言う事で」
「お気遣いありがとうございます。ではこの服をお借りしますね?」
そう言って部屋を出て廊下で着替えようとするので、流石に廊下着替えるなら俺が部屋出て行きます!と当たり前の事を説得するのが大変だった。
★☆★
「では下着を買って参ります」
「おー。困ったら店員に聞いて下さい」
「はい!」
そういって女性物の下着を売っているお店に向かうシャルルさんを見送っていた。
流石にいつまでも俺の服を着せる訳にもいかないので彼女の服や生活必需品を買い揃える為だ。
「しっかし…あのばーさんもちゃっかりしてるよな~」
朝食を取る際にばーさんに1人追加してくれと頼むと快くOKを貰ったが…ちゃっかりもう一人分の宿泊費を請求された。
なので『じゃぁお世話になりました~出て行きまーす』と言うと渋々ながら宿泊費は免除となった。
恐らく看板娘のレモンちゃんが抜けたお陰で酒場の売り上げが減った所に俺と言う高級部屋に住む金づるが居なくなると困るらしい。
俺は金ずるかい!
まぁともあれ初回ボーナスでもらった資金も目減りしてきたのでそろそろ本格的に働くか~とシャルルさん買い物が終わるまで考えを巡らせていた。
おまけ
「これはどうでしょうか?」
「いや‥‥これ下着としての機能に問題アリでは?」
「ダメですか?『ひも』」
「紐って‥‥ダメどころか下着ですらないじゃん!ダメです」
「ではこの‥‥透けているのは?」
「‥‥照れるなら聞かないで下さい。あと最悪馬とかにも乗るのでちゃんしたのを選んでください」
「は~い」
そう言って頬を膨らませるシャルルさんを後目に
(勝負下着は世界共通なのか?)
と答えの出ない問題に頭を悩ませていた。
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