第14話 見誤っていたZE★
ばーむちゃんの食事はもう少し時間が掛かりそうなので先程の青春しているグループを観察してみよう。
「おいおい!レモン!ここでは話せないって‥‥どういう事なんだよ!」
「言葉どおりよマーク‥‥それに今は仕事中だから終わったらまた連絡するわ」
「お、お姉ちゃんが‥‥仕事‥‥本当にどうしたの!?」
「そうだよ!それに冒険はどうするのよ!」
「うん…ごめんね。でもそれも含めて必ず説明するから!ごめんなさい!」
そう言って厨房に戻るミーちゃん‥‥
(って!え?名前『レモン』なの!?掠りもしてない『ミーちゃん』ってなに!?)
『まぁ…もぐもぐ。渾名…もぐもぐ、なんて‥‥んぐ!渾名なんて荒唐無稽な物が多いものっすよぉ~?もぐもぐ。』
(話すならせめて食べ終わってからにしてくれよ‥‥ってまぁ確かに渾名なんぞ適当だからな~)
かくいう俺も小学生の時の渾名は『U-T』だったし高校生の時は3年間『マ〇オ』だぞ?
もじゃもじゃの天パが赤い配管職人にソックリだったのが由来だ。
『‥‥ご馳走でした!これで私は10年は戦える!』
(大言壮語も甚だしいな。それにこの量だと省エネモードでも3日でカロリーキレするぞ?)
『よくお判りで~その通りです!』
(ドやるなよ‥‥で?行先は決まった?)
『ええ。バッチリですよ!』
(んじゃぁ財布持って出かけるか)
『は~い』
この後の予定を決めた俺達は食器を返却口に返してから酒場を後にした。
★★★
『ここは ぶきや です』
(○○クエかよ!しかもドット絵時代の!)
まぁ冗談はこのくらいにして‥‥俺達が来ているのは街にある武器屋だ。
正直今の俺には文字どり【巨大化】するしか能がない。
草原とか広い場所ならまだしも、街中とかで巨大化するのは愚か者のする事だ。
なのでせめて武器は装備しておきたい。自衛にもなるしな。
「らっしゃい~」
「取り合えず硬くて軽い剣をくれ」
「んなぁもんあるワケねーだろう。他を当たりな」
オォう!辛辣ゥゥゥ!
「ってもう少し愛想よくしねーと潰れるぞ?」
「よけーなお世話だ!帰れ!」
「オイオイ、お客様は神様なんだぞぉ~そんな態度だと‥‥」
「『態度だと』なんだよ?」
「巨大化しちゃうZE★」
「‥‥‥‥頭‥‥大丈夫か?」
(こ、こいつぅぅ!俺の事を見くびりやがって‥‥ってこれ三下ムーブだな。辞めよう)
「あーまぁいいや。テキトーに見てるから」
「‥‥は?」
頑固店主(仮称)の怪訝そうな視線を無視して壁に掛かっている装飾の豪華な剣や肉厚で重そうな剣など順々に見てゆく。
「しかし‥‥刀がないなぁ~」
「あぁん?かたなだぁ~?」
「おや?おっさんは知ってるのか?」
「‥‥聞いた事があるってだけだ。なんでも人を切るのに最も優れた剣だってな」
「あー‥‥」
確かに。
一部の文献では日本刀は人を切る為に生み出された!とか書いてあったりもしたしな。
「で?欲しいのか?」
「ん~有ったら欲しいな~程度だからまぁどうしてもって訳じゃないかな」
「そうかい‥‥ところでお前さん‥‥見ない顔だな?」
「ん?ああ、つい2週間前にこの街に来たばっかだからな」
「新参者か‥‥それに見た所‥‥武闘系のスキルは持ってないだろ?」
「ん~まぁ確かに持ってないぞ?」
「なら一先ずは短剣にしとけ。取り回しやすいし最悪の場合は投擲武器にもなるからな」
ふーむ。
投擲武器か!その発想は無かったな。
『投擲武器に巨大化を掛ければあら不思議。どこからか巨大な剣が~ってなりますねぇ~』
(‥‥まぁ一発限りのロマン武器になりそうだけどな)
クールタイムが12時間なのでどうせ使うなら自身が20倍程度にデカくなった方がまだ建設的だろう。
『それでぇ~買うんですか?』
(どー思うよ?ばーむちゃん)
『私とては賛成ですね。いざという時に丸腰よりはマシでしょうし』
(なーる。じゃぁ買いだな)
「‥‥助言有難く。つーわけで初心者でも使える奴を見繕ってくれ」
「っち‥‥今回だけだぞ?‥‥あと剣帯と鞘は?」
「あー全てお任せで。あ、でも値段はそこそこに抑えて欲しい」
「あいよ‥‥ちょっと待ってな」
そういい残し店の奥に消えたおっさんを待つこと5分程で戻ってきた。
「‥‥これが短剣と鞘…それに腰に吊るすベルトだ。全部で銀貨5枚でいいぞ」
「うーっす(銀貨5枚って…約500ドルか‥まぁ妥当‥‥なのか?)」
「…ほらよ。あと偶には磨ぎにだせよ?」
「うっす」
おっさんの小言を聞き流しながら腰の後ろに短剣が来る様にベルトで固定し咄嗟の時に素早く抜ける位置に調整してから店をでた。
法治国家じゃ武器所持で即逮捕されるんだが‥‥俺以上に物騒な武器持ってても捕まらない異世界‥‥サイコー!
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