第3話 【優良スキル】

「ご要望にお応えできず申し訳ないですねぇ~」

「い、いえ‥‥(若干機嫌悪そうな声を出すのはやめてもらいたいです)」

「機嫌は悪くありません!‥‥はぁ‥‥私の神格が高ければ適当に異世界転生でウハウハハーレムをとか言えるんですが‥‥」


なんかブツブツ言ってますが…俺ハーレムはちょっと‥‥慣れの問題かもしれませんがちょっと抵抗が‥‥


「‥‥まぁ嘆いたところで現実は変わらないので気を取り直して‥‥今回貴方様をお送りする世界はズバリ!【スキル】という特殊な力が存在する世界です」

「す、スキルですか?」

「はい。まぁ理屈とか原理とかは省きますがその【スキル】によって人生が左右されたりします」

「ふむ‥‥つまりその【スキル】とやらが強ければいい人生が送れると言う訳ですね?」

「まぁ簡単に言えば。なので貴方様には私が厳選した【優良スキル】から一つ選んで頂きたいと思います」


(おお!【優良スキル】!これはなんか凄いのでは?)


「ええ、凄いですよ?特にこの【イケメン】スキルとかおススメですよ?」

「え?イケメンが…スキルなんですか?」

「はい!この【イケメン】スキルを持っているとどんな人からもカッコよくみられます」

「‥‥」

「‥‥」

「そ、それだけ?」

「?そうですよ?」


い、らねぇ~

どんな人からもって‥‥同性からもって事でしょ?それに『容姿』に興味ありません!とかの人には効果なしじゃん。


「あの‥‥他には?」

「ん~‥‥あ!これなんかどうですか?【賢者】」

「おぉ~賢者ですか‥‥魔法とか使えそうですね?」

「あー残念だけど魔法は使えないです。しかしこの【賢者】スキルはあらゆる分野の学問に精通出来る能力なので、有名な人達は皆この【賢者】スキルを持ってますね」

「え?【賢者】って希少じゃないの?」

「そうでないですね」


(ち、違うのか‥‥なんかちょっと期待しちゃったけど‥‥違うのか)


ここで少し気になったので【優良スキル】の保有率を聞いてみたところ全体の5%も居ないならしい。そして女神様が皆持っていると言ったのは歴代の偉人たちの話であって人間の寿命で考えれば希少なスキルだった。


始めからそう説明してほしかった‥‥


それから暫くは【優良スキル】の説明を聞いていたのだが‥‥


(ん~どれもピンとくるものがない‥‥)


中には【電撃】と言うどこかのエース様と同じことが出来そうなスキルもあったし【文豪】とかいうスキルもあった。

しかしなんかこう‥‥俺の琴線に触れる素敵なスキルが無い‥‥


貰ったリストをぼーっと眺めていると一番下に周囲の文字と比べて一回り小さいサイズで書かれたスキルが有った。


「あのー?これは?」


気になった俺はいつの間にか目の前に現れバームクーヘンをもぐもぐしている絶世の美女、自称【女神】様に尋ねた。


「あ~これはですね‥‥一応【優良スキル】であるんですが‥‥あれ?なんでしたっけ?確かなんかデメリットがあったって話をむかーし聞いた気が‥‥」

「デメリットですか?なんか怖いですねぇ…」

「ん~でも確か『大したことない』って言ってたので‥‥うん。気にしなくても大丈夫です」


なんともぞんざいな感じだが‥‥本当に大丈夫なんだろうか?

そんな思いとは裏腹に【女神】様は「あ、これイイんじゃないですか?」とか言っているので俺も深く考えるのはやめた。


そしてこの選択が後に大変な事になるとは夢にも思っていなかった。


★☆★


「じゃぁ選んだのはこの【巨大化】でいいですね?」

「はい!」

「効果は‥‥おぉ!凄いですね!自分自身のサイズを最大100倍まで巨大化できる。自分以外を大きくする場合は時間制限付きでサイズも最大2倍まで‥‥か。うん。イイネ!」

「ですよね!ロマンですよね!!巨大化!」


俺が悩みに悩んで取得したのは【巨大化】のスキルだ。


そしてこの【巨大化】と聞いて真っ先に思い浮かんだのは星雲から来た戦士だ。

光線はともかくあの巨体から繰り出されるパンチは高層ビルを一発で粉砕し軽いジャンプだけでも地震を起こせる。それに人間サイズでは致命的な攻撃も巨大化すればほぼ無効化出来る‥‥素晴らしいスキルだ。


クフフフフ!

主人公ムーブなどするつもりもなかったが‥‥最強主人公目指しちゃうよ?

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