第6話、目的の場所につく前に寄り道はするもの

俺とユリアちゃんは二人で目的の場所に向かっていたのだけど道に迷ってしまい未だに森から抜け出せずにいた。



そう、こうして迷って二日間も森の中で彷徨っていたのだ。その理由として目的の場所に向かう為の橋がこの前の嵐で壊れてしまっていたのだ。



一応、復興作業は行われているけど完成するのは当分先らしい。それは非常に困ったなと思っていた、川ならば泳いで渡るつもりだけどこうした断崖絶壁になっている崖ではどうしようもない。



しかもそこが見えないほどに深い谷になっているから余計に無理だよなと諦めるしかないかと思っていた時にユリアちゃんが遠回りになるけどあちらに向かう為の場所があるよと言われた。



ならそちらに向かえば良いだけだなと考えていたけどそちらは森の中のうえに魔物なども現れやすい場所だというのだ。



つまりはその森には少なくてもダンジョンが一つはあるということになる。なるほど、確かに普通の人はそちらから向かえないなと納得したけど俺は冒険者だしユリアちゃんに関しては吸血鬼だから問題はないなと思いそちらから進んでいた。



進んだのは良いけど一日ほどあればたどり着けると聞いていたけど既に二日間も経過しているのですけどと思ってユリアちゃんに聞いてみるとユリアちゃんはこちらに対して伝えてしたのだった。



「ごめん、途中で分からなくなっちゃた。メシア、ごめんね」



「うんうん、可愛いから許すよ・・・と言うと思っていたのか!ふざけるな、どうするつもりだ」



そう言いながら俺はユリアちゃんを木の蔓で拘束して吊らして怒っていた。真面目にどうするつもりだ、この森はかなり広いのに抜け出せる自信が全くないのだけどこのまま抜け出せずになったらどうするつもりだと伝えた。



すると私が責任を持って貴方の妻になりますから許してくださいと言ってきたので俺は許してしまって拘束を解いてこれからどうしようと悩んでいるとユリアちゃんはとりあえずは方角は分かるからと言ってきたのである。



こんな状況で方角がわかるのかよと言うとその理由を教えてくれた。まずは太陽が東から現れて西に消えていくという事でまずは東と西が判明して夜で北側に魔星があるから無い方向が南となり方角はそれで分かっているというのだ。



・・・もしかして真面目に天才だったりしますか?思いながら聞いているとある程度は目処が立つので許してくださいと言ってきたけどそんなに知識もありなら許してあげるかと思いでそちらの方に向かって歩き出した。



その数時間後、俺とユリアちゃんはユリアちゃんが言っていた方向に進み見事に森の中で魔物の群れと戦っていた。



俺はユリアちゃんにおいーー!ふざけるな!!ユリアちゃんを信じてそちらに向かったら魔物の群れと遭遇したのだけど何か言うことはないか。



するとユリアちゃんは泣きながら応戦して私もこんなことになるなんて思っていませんでしたと言っていた。完全にドジっ娘だなと確信をしたと同時に罠の可能性はないなと感じた。



なぜならば泣きながら戦っているやつが・・・そんなに頭が良くないやつが罠を仕掛けられるとは思えないなとすぐに考え直して後でユリアちゃんに謝る事にしようと考えていたらユリアちゃんが何か急に馬鹿にされてような気がするのですけど気のせいでしょうかと言われたので俺は気のせいと答えた。



そうもしながらも俺たちは・・・と言うよりも俺を中心に魔物の群れを撃破して進んでいた。



ユリアちゃんも戦闘に参加をしてほしかったけど彼女のレベルがなんと8レベルと言うのだから衝撃を隠せないでいた。



いやいや、天才ヴァンパイアと言っているのだからもう少しだけでも強くても良くないと言うとユリアちゃんは天才でも最初からは強くないからと意外にも正論で返してきた。



まあ、そうだけどこの状況でそのレベルはかなり困る事になっていた。見習いメイジなのに前線で戦っているという非常事態になっているからしかも杖ではなくて大刀または鉤鎌刀(こうれんそう)と呼ばれている武器で応戦してユリアちゃんを守りながら倒して行った。



ついでに蛇足になるけど先程に説明した武器は日本では薙刀に近くて中国では三国志演義に登場する神様ともなっている関羽が持っていた青龍偃月刀を実戦化させたのが鉤鎌刀であるのだ。時代で言えば中国では約15世紀から17世紀まで使われていた武器なのである。



鉤鎌刀が魔物からドロップして手に入れたから良かったけどそれがなければ結構、大変な事になっていたかもしれない。



なんで鉤鎌刀が扱えるかって?それは前世で俺は槍道をやっていた事もあり槍などの扱いにはそこら辺の冒険者に負けないほどに強かった。



ならなんで前線職につかなかったと言うとせっかくファンタジーの世界に転生したのだから魔法の1つは2つぐらいは使ってみたいという理由で見習いメイジになりました。



良く言えば夢を追いかけてなり悪く言えば考え無しで見習いメイジになってしまったと言うべきか。



もしかしたら前線職ならジュンともある程度は戦えたかもしれないと言われるほどだったらしいけど。



でも今は普通に強くなっているから前線でも何とかして戦えていた。



もう少しだけでも強い武器が見つかれば助かるのだけどなと思いながら進んているとユリアちゃんがあれってと言って指を指した方向を見てみるとそこにはダンジョンの入り口を見つけたのである。



やはり、ダンジョンは近くにあったなと納得して辺りを見ていたら俺の目に別のダンジョンの入り口を見つけてしまったのだ。



こんな近くにダンジョンがあるなんて聞いたことがない。だからこの辺一帯が魔物が異常発生していたのかと納得してしまったけどここは俺が貰った領土の近くでもあるので放置をしていれば必ず俺の不利益になってしまうのは目に見えていた。



だから俺はこのダンジョン、2つとも何とかしてダンジョンコアを破壊したい、少なくても一つは破壊してある程度は抑え込みたいと考えて俺はユリアちゃんに伝えるのだった。



「ユリアちゃん、大変かもしれないけどこれからダンジョン攻略してダンジョンコアを破壊するよ。このまま放置したら間違いなく俺たちがこれから向かう場所にこいつ等が来てしまうからな」



それを聞くとユリアちゃんが嘘でしょうと嫌な顔をしていたけど俺についてこないと命の保証がないという事で嫌々そうにしていたけどついてくることになったのだ。



ダンジョンの中に入り始めた、前のダンジョンに比べてやはり敵のレベルは上がっており苦戦すると思っていたけど俺が想像以上に強くなっていた事にダンジョンであるので通路が狭く自動的に戦える人数が限られるので意外と楽に進めていた。



それにユリアちゃんがヴァンパイアと言うこともあり普通の戦闘ではそこまで経験値が手に入らないらしいけどここまで戦えれば自動的に上がってレベルが12まで上がって最初はユリアちゃんは滅茶苦茶に嫌々そうにしていたのに今では逆に楽しそうにして次々としていた。



本当にあんなに楽しそうにしている光景を見ていると幼馴染のアヤカに重なって見えてしまった。



アヤカとのレベルアップの時もあんな風に喜んでいたよなと思い出していると何をしているのよとユリアちゃんが言ってきたので俺は少しばかり考え事をしていただけだからと言ってまた探索をしていた。



そろそろダンジョンの最深部だと思うからこの辺りにコアとかないかなと探してみた。



するとユリアちゃんがこの先にありそうな気がするといったのでそちらに向かってみるとそこは大きな地下湖が広がっていたのだ。これは絶景かなと考えていた、そこは外みたいに明かりもあり本当にダンジョンなのかと思うぐらいだった。



それにしてもユリアちゃん、どの辺りが怪しそうだと尋ねるとこの地下湖の中にありそうだと言ってきた。



聞いた俺は確かにそれはあり得るなと考えて服を脱いでから湖にダイビングーと叫んでから中に入ると地下湖のそこにダンジョンコアを発見したのである。



あそこかと考えてすぐに水面に上がりユリアちゃんに報告した。



「ユリアちゃんの言う通りに湖の底にダンジョンコアがあったから一緒に破壊して経験値を山分けしないか」



そう伝えるとユリアちゃんはため息をついて俺に対して説明をしてきたのだった。



「メシア、貴方は忘れているかもしれないけど私は天才ヴァンパイアだから水の中では泳げないのよ。だから私は遠慮しておくけどせっかくだからこれを受け取りなさい」



そう言って渡されたのは進化のキノコの銅色のやつで俺は良いのかと尋ねるとユリアちゃんは私は貴方からレベルドレインをするから構わないからと言われた。



それを聞いた俺は確かにそうだなと納得してそれを火で加熱して食べてから再び、地下湖に潜りダンジョンコアを破壊したのだった。



そして破壊を終えると強くなった感じもしたので壊れたなと思いながら上に上がってユリアちゃんに破壊したからこのダンジョンから新たな魔物は現れないはずだから今日はここでキャンプするかと伝えるとユリアちゃんもそれに賛同した。



向こうもダンジョン攻略して疲れたので今日はこの景色が良い地下湖で休んでからもう一つのダンジョン攻略をする事にしたのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る