チャーハンのはなし
おなかすいた。お昼ご飯、何にしよう。そういえば、この間みた映画でチャーハン食べるシーンあったな。あ、やばい。完全にチャーハンの口になった。確か冷凍庫の中にチャーハンがあった気がする。そうだ、レンチンしよう。
そんなノリと勢いで1/2袋のチャーハンを平たい皿の上に盛り付けて広げる。からからと冷えた塊がその場に落ちていく。平べったいお皿に盛られたそれをレンジに入れて、600w、タイマーを3分50秒にセットする。なんだか家にいる二匹の毛玉たちがこっちを期待のまなざしで見つめている、気がする。君たちには食わせられん、こんなにおいしいもの君たちに食わせたら君たちが死んでしまう。それは困るのだ。
待っている間、とある人のエッセイを読むことにした。ぼくが、あこがれた人が書いた本。映画を見に行ったあとについでで買った三冊のうち一冊。それを手に取ってページをめくる。緊張して読もうとしたら一行目から下ネタで笑った。なんだこの人は。本当に面白い。大好きだなあ、なんて思ってページをめくろうと思ったら電子レンジの間抜けな電子音。ああもう、ここからなのに。でも腹は減っている。食べよう。
ぱか、と口を開ける。木でできたスプーンでチャーハンをすくう。パラパラと零れ落ちる。自分はこの零れ落ちたものと同じ存在なのかもしれない。なんて良く分からない思考に陥って、味わわなくては。
ぱく、もぐもぐ
程よい油がうまい。肉がごろっとしてておいしい。
ぱく、もぐもぐ
ただおいしい
チャーハン、レタス入りのやつ食べたい。レタスとたまごと肉がおいしいやつ。
食べてるのにおなかすいた。ふと皿を見ればいつの間にかきれいになった皿。ぼくは口が大きいので何回かで食べ終わってしまう。足りない気がする。
もっかい食べよう。そうしよう。残りの1/2袋をおんなじ皿に乗せる。
ふと思う。ぼくはあと何度食べられるんだろう。人生で食事するということにどれほど時間を使うのだろう。ぼくは今日もどうでもいいことを考える。それができることが幸せだと言ったら、ほかの人はきっと「変わってるね」で終わらせるんだろう。ぼくはいつか、ぼくの、こんなにもくだらない話をまじめに、時には笑い飛ばして聞いてくれる人に、出会ってみたいものだな。
僕はまたエッセイを読み始める。温まるまでの間、もう少しだけ。
今日は雨が降りそうだな
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます