好きまでの距離4 Side 赤松太陽
「あの、もし良かったらで良いんだけど、俺と彼女、このスマホで撮ってくれないかな?」
良く見ると、お兄さんの隣には、黒髪の凄くキレイなお姉さんが優しく微笑みながら、「もし良かったらお願い」とお辞儀をしている。
うわっ!!キレイ!!おっと、思ってもそんな事は言わない方が良いよね。
「あっ、柚子さん良いかな?」そう言って確認すると、「太陽君、写真上手いもんね」とニッコリ笑う。
「良かったね、まこと!!」
嬉しそうな綺麗なお姉さんとまことと呼ばれたイケメンなお兄さんが、
「ありがとうな、太陽君!!」と言って肩を叩かれた。こう言う人達は陽キャって言うんだろうな?
今、柚子さんが名前言ったの聞いてたのかな?なんて思いつつ、僕は二人にポーズや背景の要望を聞きながら、写真を撮る。
うわ〜、本当に二人共、芸能人と言われてもおかしく無い位、キレイで格好良くて……。
何となくフワフワしながら写真を撮って、確認して貰うと二人は、「写真撮るの、うっまいね君!!」「本当だ、頼んで良かったな、たえ」と二人で喜んでくれた。
そして、しばらく喜んだ後お兄さんが、「これはお礼じゃないけど、今度は俺達に君等を取らせてくれないか?」と言われ二人で驚きながらも、折角だしとお願いする事にした。本当は無茶苦茶嬉しくて、ニヤニヤするのを必死で抑えていて……隣を見ると柚子さんも嬉しそうで……。
二人並んで、ぎこち無い笑顔で笑いながら片方は手を繋いで空いた手でピースして……何だか、いつの間にか撮られていて……。
「こんな感じで大丈夫かな?」お兄さんが撮ってくれた写真は、思ったより、自然で素敵な笑顔になっていて、ビックリしていると、
「すっ凄いです!!こんな自然に笑えてたかな僕ら?」僕の言葉に柚子さんもブンブンと何度も頷いている。
「それは、企業秘密……なんてな。本当は撮るタイミングをズラしたり、連写して良い画像を選んだりとか、俺も下手くそだったから練習したんだよ~」そう言って戯けるお兄さんを見て「ホント、ホント」と笑うお姉さん。二人共本当に素敵なカップルだな。
「本当にありがとうございました!!」二人で、お兄さん達にお礼を言うと、
「何言ってるの?こっちこそ写真、ありがとな」とお兄さんが歯を見せてニコッと笑う。
「二人共、初めてのデートかな?頑張って!!さぁ、まこと!!おじゃま虫は退散だよ」お姉さんがお兄さんの手を取って、空いた手でコチラに手を振りながら歩いて行く。
「アハハ、お互い楽しもうぜ、お二人さん!!」お兄さんは引っ張られながら、バイバイと手を振った。
「ねぇ太陽君」
二人を見送りながら柚子さんが言った。
「あの二人もしかしたら、私達の事気にして写真撮ってくれたのかな?」
「僕も、何となくそう思う」嵐の様に去って行く二人に少しあ然としていた僕も何となく、そう思っていた。
「素敵な二人だったね」そう言う柚子さんは、ちょっと夢うつつな感じで、それを見ていた僕は、「あんなふうになれたら良いよね」と思わず言ってしまったけど、柚子さんは、ちゃんと聞いていたのか聞いていなかったのかポツリと、
「うん、そうだね」と言っただけだった。
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