そっと僕らの手がふれて10 Side 赤松太陽
「フィナンシェ美味しい!!」嬉しそうに頬バル白波さん。
「うっま!!カヌレも美味しい!!特に、このチョコレートクリームが入った奴」白波さんのお姉さんの美甘さんが目を輝かせて食べている。
やっぱり女の人は、甘い物が好きなんだなぁ。
我が弟、
僕じゃ、あんまり甘い物詳しく無いし。
そもそも、カヌレなんて全然知らなかった。
カヌレはフランス由来の焼き菓子で、小さな山見たいな形をしていて、外はカリッ中はしっとりした食感が美味しいらしい。
実は僕も食べるのは初めてなんだ。
本場では、中にクリームは入っていないみたいだけど、日本ではクリームが入っている物が人気らしい。
流石、日本何でもアレンジするんだな。
美味しい物を食べて、楽しく話をする。
それだけで和気あいあいな雰囲気になる。
楽しい会話の中で、美甘さんが爆弾を落とした。
「勿論、付き合ってる人位いるわよ?」
「えっ、嘘?」白波さんが目を見開いて、ビックリしている。
「じゃあ美甘さんは、大学でお付き合いしている人がいるんですか?」
「まぁね、でもアイツはいつも忙しいからね。いつも世界中を飛び回ってるし」美甘さんは、小さくため息を吐くと、少し遠い目をする。
「世界!?何をしてるんですか!?」
少し、ビックリして聞き返すと、
「ちょっと!!私も初聞きなんだけど!?」
白波さんのお母さんが、ビックリしている。
「美甘にお付き合いしている人がいるのは知ってるけど、一度も合わせてくれないし」
不満げに、美甘さんを睨む白波さんのお母さん、この人も、見た目若いよな?
「言って無かったっけ?バレーボールの選手」
「はぁ?バレーボールの選手?」
白波さんがあ然とした顔をしている。
バレーボールって、あのハイキューとかのバレーボールだよね?
この前、テレビでやってたのを偶然1セットだけ見たな。
もっと良く見ておくんだった。
「うん、この前、日本代表にもなったよ」
「「日本代表!?」」見事に美甘さんを除く白波親子と僕の声がハモる。
だって、日本代表だよ?
ワールドカップとかオリンピックとかに出るあの日本代表なんだよ?
テレビの中とかでしか見た事が無いそれにかなりビックリする。
「僕、この前テレビで世界大会やってるの調度見ました!!あれ、ヨーロッパでやってますよね!?」
「うん、確か今年の世界大会はヨーロッパの方だったよね」
美甘さんは、凄く自慢げでまるで自分の事の様に嬉しそう。
「それで、お姉ちゃん、この前テレビでバレー見てたんだ」
「で、どの子?」
白波さんのお母さんがスマホを取り出してバレーボール日本男子代表のホームページを開いている。
「どれどれ?」
僕と白波さんが横からスマホを覗き込もうとして、気がつくと、白波さんと頬が当たりそうな距離に、
「ゴメン!!」「ゴメンね!!」
慌てて二人、離れると美甘さんがニヤニヤしながら、
「キミら、本当に仲が良いね」と笑う。
あーもう、恥ずかしくて白波さんの顔が見れない……。
ちなみに美甘さんの彼氏は、この前のテレビでもスパイクやバックアタックをバシバシ決めていた、身長190センチ近いイケメンアタッカーだった。
バレーボール日本代表なんて非日常的な言葉が一気に身近に感じる出来事に僕もあ然としていると、
「赤松君も、負けてない位、格好良いからね」
騒いでいる、美甘さんと白波さんのお母さんに隠れて、耳元で白波さんがボソッと囁やきかけてくれた言葉は、最初は幻聴なのかと思ったけど、白波さんの真っ赤な顔を見て現実なんだと、やっと確信した。
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