僕らは近づいていく2 Side 白波柚子
静かな図書室で、私は少し緊張をしていた。
私の隣には、クラスメートの
私の様にクラスではあまり目立たないタイプ見たいだ。身長も高めだし、顔だって優しそうで、ちょっとカッコイイなって思った位なのに。
ただ、クラスでは何時も一人で本かスマホを見ていて誰かと関わろうとしていない。
だから、周りの皆も余り関わろうとしていない様だ。私も、その内の一人、少し怖いし……。
でも、転校してしまったもう一人の図書委員に代わって担任の先生に無理矢理、図書委員にされてしまった。
確か、選ばれた理由は席が前の図書委員の後ろだったってだけ。
その雑な決定に赤松君以外は、みんな苦笑いしていた。ちょっと可愛そうだった。
私は、最初から図書委員にだったから良いけど、興味の無い人になられても、前の図書委員みたいに一度来ただけで、後は来ないなんて事になったら、こっちが困るかな?
そこまで考えて、どうせ今迄も一人だったんだから良いかと、開き直った。
前の図書委員は、一日目に嫌々来て誰も来ないのが分かった途端に、バイトがあるからと言って来なくなってしまった。
まぁ、別に困らないから良いけど。
私は本が好きだし、静かなこの空間は宿題や授業の予習復習をするには、最適の空間なんだ。
そっと彼の方を見ると、私も緊張しているけど、赤松君はもっと緊張しているみたい。
落ち着かないって感じで、ソワソワして辺りをキョロキョロしている。
その様子を見て、自分の初めての図書委員を思い出してしまい、少し微笑ましくなってしまった。
第一印象の怖さも忘れてつい、「赤松君、緊張してる?」と話しかけてしまった。
彼は少しこちらを見て、ハッとした顔をすると、急に慌て始める。
どうしたんだろう?ソワソワして、急に話しかけたからビックリしちゃったかな?
「ゴメンね!!急に話しかけちゃって」
ちゃんと、謝らないといけない。
「いやいやいや、大丈夫、何でもないよ」
慌てて否定する赤松君。
少し顔も赤いみたい、どうしたんだろ?
こちらから顔を背けるように頬を掻きながら、ちょっと慌ててるみたい。
「うん少し、でもこんなに静かだと逆に緊張するよね」
「何時も、こんな感じなの?」なるべく小さな声で彼は話そうとしている。
「うん、何時もこんな感じかな。来て二〜三人、テスト週間になるとテスト勉強の為に結構来るけど」面白い本が沢山あるのに残念なんだけど
「じゃあ、誰も来ない時は、どうしてたの?」
私の方をじっと見つめられて、少し照れてしまう。
「宿題をしたり、本を読んだり……ちょっと居眠りしちゃったり」
「それは……大変そうだね」
にっこり微笑む赤松君。
「私は本が好きだから、平気」
「もう一人の図書委員も、そんな感じだったの?」
「それは……あのね、最初に一度来たきりで、人来ないから良いよね?って、バイトあるからって……それきり」赤松君は、立ち上がり声を荒げる。
「ちょっと!!それ酷く無い!?」
慌てた私は、思わず「シーッ」と言って静かにしてくれる様に頼んだ。
赤松君は、頭を掻きながら、小さく「ゴメンね」と謝ってくれる。
良かった、赤松君が人の話を聞いてくれる人で。
それに、私の事心配してくれたんだ。
優しい。
その後ちょっとだけ、お話や自己紹介をしたけど、真面目な良い人みたい。
お互いに相手の事は何も知らなかったけど、少しだけ歩みよれた気がした。
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