第1話

…………………………………

俺は、そのまま寝ていたようだ。眠気も全くなかったのに。

でも、寝てたんだったら、兄貴が起こしてくれた…はず。

兄や姉に甘えすぎるとこういうのって当たり前だと思ってきちゃうんだな。

兄貴も、倒れていた。

「兄さん」

俺が声をかけると、すぐ目を覚ました。

「隼斗…ここは?」

「分からない」

そういえば、この場所。真っ白で、小さい箱が1つだけあって、俺らの他に人がいるだけ。天井も床も白一色。それに、俺らはさっきまで部屋着を着ていたのに、黒い服を着ていて、黒いフードをかぶっている。胸には数字と名前が書いてある札が付けられている。俺は、この部屋を探索しようと思った。しかし、急に激痛が体全体に走った。

「うっ…」

そして、体が麻痺して、動かなくなった。いつのまにか、俺は正座をしていたし。

「…………………」

手足は勿論、顔や首も動かせなくなった。幸い、目だけは動かせたので、周りの様子を伺ったり、瞬きしたりできるが。


数分後。「100  秋部陽平」と書かれた札の人が現れた。すると、麻痺していた体も動けるようになった。そして、頭の中に女性の声が響いた。

『お待たせいたしました。これで100人揃いました』

「誰だ、お前は?」「100人?」

という叫び声が聞こえてくる。聞こえるのは俺だけじゃないらしい。

『今から皆さんには』

声は叫び声を無視して続ける。

『死の百人一首、[百人一死]をやって貰います』




----------


No.56 武田隼斗たけだはやと

主人公。どこにでもいる受験生。


No.57 武田優斗たけだゆうと

隼斗の兄。大学生で天才だが面倒くさがり。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

百人一死 額田兼続 @Nekofuwa-jarashi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ