午前零時

第1話 午前零時ジャスト

それは一日のはじまり

だれもが知っているはじまりのとき

だれもが眠りに落ちるころ

薄目を開けてこっそり待つよ

つぎの日のやくそくのはじまりが

ひそやかにひそやかに

はじまりなのに

朝日はいない

知られていないわけじゃないけど

はじまりは夜から

めざめは暗闇を経てから

ゆっくりじわじわと

ことばはひかりをつくる

さえぎるすべて溶かしてゆく

よぞらの星もだれかが流し

夜はしずかに暗くだまりこむもの

ひかりのない世界

つまらないですか

音楽きけない時間

うらめしいですか

まぶたを閉じればきっと出遅れる

よるの帝王ここにありと

なにも見えない　波間のむこう

海がしずかにさかなを抱いて

まよいの小舟とめないように

おだやかにおだやかに

雲のうえの星くずに　

ときよまわれ

いのちのいぶき

ささげる詩は季節をこえて

きのうまでのこと

あしたからのこと

いままでのこと

これからのこと

わたしはおもう

あなたのたどった足あとのかず

知らない夜に　聞けない夜に

ふたりの夜明けどこにいる

わたしはおもう

瞳かがやく絵本をひらいて

ことばつないで月夜にささぐ

いまから受け取り

これからはじめる

午前零時のスタートダッシュ

人気のさきどりこの手熱く

待ちに待ったオープニング

ひまつぶしも楽じゃないね

ダウンロードのやまをこえ

午前零時の祝福をいま始動する