day18.占い

 こんな夢を見た。

 夢の中で私は占い師で、良く当たるということで村人の信頼を集め、やがてわざわざ遠くから占ってもらうために来る人も増えた。

 そうなるとそれで金を稼いでやろうという奴が出てくるのが世の常で、無断で「これは彼の占い師が念を込めた水」などと宣いただの水やよく分からない札を高額で売りつける輩が現れた。

 少し先見が出来るだけの自分が念を込めたところで、病が治ったり金持ちになったりするはずがない。嘘を吐いて売る奴にも鵜呑みにして買う人間にもうんざりして、私は占い師をやめ山に隠れ住んだ。

 自給自足の生活にも慣れた頃の深夜、誰かが家に忍んでくる気配で目が覚めた。

「お前が占いをやめたせいで商売あがったりだ。悪いが、最後にもう一稼ぎさせてもらうぞ」

 忍び込んできた男はそう言うと私を刺し殺した。だが、なおも夢は続く。

 男は竹筒に流れ出る血を集め、肉は削いで捨て骨を取り出して洗い、綺麗な状態にした。

 素早くそれらの作業を終わらせた男は、村に戻ると「山で修行を続けていた占い師が解脱をされた。そして現世に残った有難いお身体を我々に下さった」と血は妙薬として、骨は御守として売り捌いた。

 何が解脱だ。村人に骨なぞ奪い合わせて、お釈迦様でもあるまいし。

 そんな適当な講釈を垂れていると罰が当たるぞ、と思っていたらその翌朝、男は目覚めることなく寝床の中で息絶えていた。


 そこまで見届けたところで目が覚めた。

 なぜこんな夢をみたか、なんとなく分かっている。

 昨日、アンティークショップで白い石から出来た指輪を見つけた。表面が少しざらざらしているが指に吸い付くようで、試しに嵌めてみるとサイズもぴったりだった。

 普段アクセサリーは身につける習慣はないけれど気に入って購入したのだが、もしかして、あれは……。

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