day15.解く
姉が近々大量の本と共に襲来しそうなので、一階の物置を整理することにした。
物をどんどん増やす同居人もいることだし、前の住人が置いていった諸々をガラクタと使える物に分けて整理するという、ずっと先延ばししていた作業にようやく本腰を入れる気になった。
こういう作業は、余計なことを考えなくて済むからいい。ひたすら、古新聞や古い什器をゴミ袋とリサイクルショップ行きの段ボールに仕分ける。無心で十数分も片付けを続けると、今まで入れなかった奥の方まで行けるようになった。
「痛っ」
ゴミ袋を引きずりながら歩いていると、何かに躓いた。見ると、コの字型の取っ手が四角く区切られた床から生えている。
床下収納の蓋なのだろうが、なぜか取っ手は近くに打ち付けられた杭にロープで結びつけられて開かないようにしてあった。それも躓いた拍子に結び目が解けてしまったようで、今はかろうじて取っ手に引っかかっている状態である。
さらによく見ると、ロープにはところどころ茶色く変色した紙が挟まっている。もしかしなくとも、これってもともと注連縄だったのでは。
この家にはまだ他に邪悪な何かでも封印されているのか、お化け屋敷にしても盛りすぎじゃないかと思わなくもないが、何分この二週間で色々なことが起こりすぎて慣れてしまった。変な写真を拾ったりもしたが実害が出たことはないし、同居人も私とこの家の相性は悪くないと言っていたし、そんなに酷いことにはならないだろうと、好奇心に駆られて蓋を持ち上げた。
「えっ」
蓋を開けたその先、遙か下の方に森が広がっている。一体、どういう仕組みになっているのだろう。
これはさすがに手に負えないと判断し、同居人を呼ぼうとした、その時。
ドンッ。
誰かに背中を押された。無防備に下方を覗き込んでいた私は為す術もなく、床下の世界へと落ちていった。
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