10月22日 fridge
どこからか微かに聞こえてきたぴーっぴーっという音でわたしは目が覚めた。
その日は雲のないきれいな朝で朝日が窓から差し込んでいた。あまり聞き心地のいい音ではなかったけれどもなんだか聞き覚えのある音のような気がしたので、わたしはベッドから起き上がった。目覚めは天気と同じくらいに爽やか、という訳でも決してなかったけれど、今起きた方がいいという直感がしたので渋々ながらベッドから這い出た。
とりあえず朝ごはんをつくろうと思ってキッチンへ向かったが、奇妙なことに例のよくわからない音はまだ鳴り響いていて、何なら音量が上がったようにさえ感じられた。外を覗き見ると周りはいつもと何ら変わりなく穏やかだったので、耳鳴りだといやなんだけどな、とかそんなことを考えていた。
キッチンはなんだか少し嫌なにおいがしたけどたぶん三角コーナーをちゃんと掃除してないせいだと思って、それよりまだ響いているぴーっぴーっの発生源をたどろうと思ったけどよくわからなかったのでとりあえずのどかわいたな、と思って冷蔵庫から牛乳をグラスに注いで飲み干した。牛乳はちょっといつもと違う感じがしたけどひとまず喉はうるおせたので、やたら簡単に開いたような気がした冷蔵庫に牛乳パックを戻して代わりに卵を取り出した。
まだキッチンにこだましているように感じられた奇妙な機械音がぷつんととまったのはフライパンに割り入れた卵を見ながら右手で冷蔵庫の扉を探ってばたんと閉じたのと同時だった。
寒気がしたのは言うまでもない。
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